実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ハンター(Shekarchi)』(Rafi Pitts)[C2010-37]

東京フィルメックス9本めは、有楽町朝日ホールでラフィ・ピッツ監督の『ハンター』(FILMeX紹介ページ)。コンペティション作品。

上映前にゆっくり昼ごはんを食べられる時間に家を出たのに、JRのトラブルのせいで、ごはんも食べずに10分遅刻。話はいちおうつながっていたが、最初の10分に何があったのか気になる。

舞台は選挙を控えたテヘラン。主人公は妻子と暮らす夜警の男で、監督のラフィ・ピッツが自分で演じている。デモの群衆に警官隊が発砲するという事件に巻き込まれて妻が亡くなり、娘が行方不明になった男が、娘を探すうちに話はどんどん意外な方向に進んでいく。先の読めない展開に最後まで目が離せなかった。

ふつうの大都会に見えるテヘランは最近いろんな映画で見ているが、この映画のテヘランはまたひと味違う。工場地帯やアパートなど、印象的なロングショットで写しだされる、どこか無機質で場末感の漂うテヘラン。それはある意味、繁華街などよりも大都会っぽい一面でもある。くすんだブルーとグリーンと黒と茶色だけでできているようなダークなトーンの画面とあいまって、独特の不穏な空気感が強く心に残る映画。

ところで、終盤に出てくる年取ったほうの警官は、笑いを取った藤原釜足みたいだ。

この上映にはQ&Aはなかったが、11月26日に行われたQ&Aのレポートはこちら(LINK)。