実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『アンチ・ガス・スキン(방독피)』(金曲、金善)[C2010-34]

東京フィルメックス6本めは、同じく有楽町朝日ホールで金曲(キム・ゴク)監督、金善(キム・ソン)監督(←漢字表記、これで合っているのかな?)の『アンチ・ガス・スキン』(FILMeX紹介ページ)。コンペティション作品。

舞台は、ガスマスクをつけた連続殺人鬼に人々が怯えるソウル。自宅に戻った女の子が殺人鬼と鉢合わせするという、なかなか惹きつけられるオープニング。ホラーか、あるいは怖い殺人モノか…と思ったのにブラック・コメディだった。それぞれソウル市長候補、顔に毛の生えた少女、スーパーマンになりたいカンフー青年、米軍兵士を中心とする4つのストーリーが並行して描かれる。

それらが次第に組み合わさって連続殺人の真相が明らかになるのだろうと予想したが、これはみごとにはずれ。4つのストーリーは別々のストーリーのまま終わる。ただし、それらがシンクロする瞬間が二度ある。ひとつめは、それぞれの主人公が歌を歌うところ。ふたつめはクライマックス。

“嘲鮮日報”とか出てきたし、保守系の政治家や宗教を揶揄していることくらいはわかる。監督の政治的立場もだいたいわかる。しかし、韓国社会についてそれほどくわしくない者にとっては、なんのパロディなのかほとんどわからないのが困る。ヒゲ少女の出現とともに「苦手な映画」光線がビシバシ出たが、途中まではそれなりに楽しく観ていた。でもクライマックスは、あまりにくどすぎ長すぎで疲れた。2時間強がめちゃくちゃ長く感じられる映画だった。

青。青はもちろん国民党の色だが、韓国ではハンナラ党の色らしい。なんか納得だが、「青」という色がかわいそう。

上映後、金善監督をゲストにQ&Aが行われたが、夜遅いのでパスして帰った。そのQ&Aのレポートはこちら(LINK)。