実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち(Café de los Maestros)』(Miguel Kohan)[C2008-38]

遅めに出京して渋谷へ。セガフレードで昼ごはんを食べて、Bunkamura ル・シネマでミゲル・コアン監督の『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』(公式)を観る。ル・シネマといえばおばさまの牙城というイメージだが、今日はさらに年齢層が上がって、フィルムセンターや神保町シアターもびっくり。しょっちゅう「あたしが最年少」とか言っているわたしだが、たいていは「あっちが若いかな」という人が少しはいる。ところが今日はほんとにいない。しかも映画館なれしていなさそうな人たち。みんなタンゴファンなんだろうか。わたしみたいに、タンゴは好きだが、ミュージシャンはガルデルとピアソラくらいしか知らない、『ブエノスアイレス[C1997-04]からアルゼンチンに興味をもったようなのはぜんぜんいない。

映画は、アルバム製作のために集まった、タンゴの往年のスターたちを描いたドキュメンタリーで、まさしくタンゴ版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ[C1999-16]。前半が主だったスターたちのインタビュー、後半がコロン劇場でのコンサート。インタビューは、レコーディングスタジオでのものもあるが、バスの中とか、競馬場とか、彼らの日常の場で行われているのがいい。ただ、取り上げている人の数が多く、広く浅く的なインタビューなので、彼らを知らないわたしのような観客には、全員をきちんと記憶・認識できない。

あいだに挿入されるブエノスアイレスの風景は、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のハバナほどには魅力的でないが、行ったことがあるだけに感慨もひとしお。残念ながら「ここ知ってるー」というところはほとんどなかったが、記憶もうすれているので、またDVDなどで確認したい。コロン劇場は、目抜き通りの7月9日通りにあって、見ていないはずはないのだが、記憶も写真もないのがとても残念。ブエノスアイレス以外では、佐分利信が出張に行ったウルグアイモンテビデオもちょっとだけ出てくる。

このところなんとはなしに観たい感が増していた『ブエノスアイレス』、『スプリング・フィーバー[C2009-24]を観てもっと観たくなり、この映画を観てさらに観たくなった。寒い映画という印象なのであまり夏向きではないが、実家にDVDをもって帰ろう。