実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『暗殺』(篠田正浩)[C1964-37]

遅めに出京し、京橋のはなまるうどんで昼ごはん。サラリーマンのおじさんたちが、軒並み「小」うどんを注文していることに気づいて愕然としつつ「中」うどんを食べ終え、INAXブックギャラリーで本を買ってからフィルムセンター(公式)へ。

先週末から始まった特集は「映画監督 篠田正浩」(公式)。篠田正浩は、松竹ヌーヴェル・ヴァーグの中で最も興味のない監督だが、今日は2本観る予定。まず一本めは『暗殺』。たいして混んでいないだろうと思って行ったら、ほぼ満席でびっくり。

暗殺 [DVD]

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これを観ようと思ったのは主演が丹波哲郎だからで、ぜんぜん内容も知らずに来たら、困ったことに幕末モノだった。わたしは幕末が苦手である。勤皇も佐幕も攘夷も、新選組も龍馬もぜんぜん興味がないので、いくら主演がタンバでもやはりダメだった。

タンバ演じる清河八郎は、タンバにうってつけの、というかタンバにしか演じられないような人物であるものの、やはりタンバは権力をもっている役が似合うのであって、浪人なんてダメである。悪くはないけれど、突出してもいない。でも、龍馬(佐田啓二)を「サカモトくん」と呼ぶところがいいですね。

この映画では、タンバよりもどちらかといえば岡田英次のほうがいい。ふたりともバタ臭い顔立ちだけど、タンバは何よりスーツが似合う。着物も悪くないけれどちょんまげはいまいち。岡田英次の場合は、スーツを着たらただのふつうの二枚目だが、着物にちょんまげだとかなり新鮮。時代劇スターにはぜったいにない雰囲気である。加えてこの映画では、小沢栄太郎とつるんでいる悪役なので、常に「悪だくみする二枚目」という雰囲気なのがいい。

また、途中『岩下志麻 責め地獄』という感じになるので、その道の人、いや岩下志麻ファンの人にはうれしいかもしれない。わたしは特に楽しめなかったけれど(「えっ?もう死んじゃったの?もっとやれよ」と思いました)。