バンガロールに来ちゃったの

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『赤い天使』(増村保造)[C1966-47]

朝からラピュタ阿佐ヶ谷(公式)のモーニングショーへ。「昭和の銀幕に輝くヒロイン[第51弾]」(公式)は若尾文子。今日は、増村保造監督の『赤い天使』を観る。

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若尾文子が体を与えて献身的に奉仕した男(千波丈太郎、川津祐介芦田伸介)は必ず死ぬ、という映画。

なかなか見ごたえのある壮絶な映画だったが、若尾ちゃんが期待したほどエロくなかったのが残念。極めて無表情にあんなことやこんなことをしたりされたりしていた若尾ちゃんは、最後に芦田伸介と、軍医と従軍看護婦、上官と部下という立場を入れ替え、様々な表情を見せる。しかしここでは、若尾ちゃんがいきなり主導権を握ってしまっていて、女っぽいというよりも、オバサンくささを感じてしまった。貫録がありすぎてエロくない。というのも、彼女が演じる西さくらは24歳という想定だが、実際の彼女はとうに30歳を越している、というのが原因だと思う。でも、軍服コスプレシーンは必見。

1939年の天津附近を舞台に、戦争というものが具体的にどういうものであるかをリアルに描いているが、反戦映画というのとはちょっと違うと思う。戦争の悲惨さも馬鹿らしさもすでに前提となっていて、そういうところに送り込まれて、否応なしにそれに対峙せざるを得ない人間が、どのように対処していくかを描いている。「兵隊は人間ではなくモノだと思え」とか「看護婦に心はいらない」といった、軍医や婦長のアドバイスに納得できない若尾ちゃんは、自分なりの価値観で行動していく。ふつうはしないであろう決断を次々に下すその速さと潔さはクールだが、クールすぎて貫録がありすぎる。まだ若くて未熟な感じとか、初めて戦場に来ていっぱいいっぱいな感じとか、クールさと相反する要素をぜんぜん見せないのが、いまひとつエロスを感じない原因かもしれない。それもやっぱり30歳越してるから…。

クライマックスで、(少なくとも観客には必ずあることがわかっている)敵の攻撃に備えて配備についている緊張した兵士たちと、コレラで呻き苦しむ兵士たちやそれと格闘する衛生兵と、(そんな状況にもかかわらず)モルヒネ中毒および不能の治療に勤しむ若尾文子芦田伸介が同時並行的に描かれるのはなかなか圧巻である。

全篇きわめてシリアスなタッチなので、川津祐介の登場シーンもきわめてシリアスな雰囲気だが、それでも「ひとつだけ頼みをきいてください」と言っておきながら次から次へと三つもお願いをしてしまうのには唖然。