遅めに出京し、飯田橋へ。ル・ブルターニュでガレットを食べてから、東京日仏学院のジャン=ピエール・メルヴィル特集「コードネームはメルヴィル」へ行く。東京フィルメックスでの第1部に続く第2部。日仏学院はアテネ・フランセとセットで敬遠しているので、実ははじめて。アテネは加藤泰やマレーシア映画も上映するので、イヤでも行かないわけにいかないが、おそらくフランス映画だけの日仏学院は、これまで来る機会がなかった。ゆっくり見る時間はなかったが、アテネ・フランセよりずっとおしゃれできれいで椅子の座り心地もいい。と思って評価を上げていたら、途中でフィルムのかけ間違いがあってがっかり。
- 出版社/メーカー: アイ・ヴィー・シー
- 発売日: 2006/12/05
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全体的には、コクトーが深く関与しているというか、たくさん口出ししていることもあり、文学的な世界が構築されている。文学的ではあるが、原作小説のダイジェストにはなっておらず、小説とは別の独自の世界になっていると思う。他の者を寄せつけない、子供たちだけの独自の世界とその雰囲気がうまく表されている室内のシーンがとりわけ印象的。
役者には不満が多い。10代の少年少女の役を20代の俳優が演じているので、その年代特有の善悪を越えた透明感みたいなものが感じられない。一般には、ポールを演じたエドゥアール・デルミットがごつすぎるといわれているようだが、わたしは彼にはそれほど不満は感じず、エリザベート役のニコル・ステファーヌが苦手だった。だいいちあまり美しいと思わないし、成熟しているというよりおばさんっぽいし、逆立ったような髪型もこわい。ただでさえエキセントリックな役なのに、派手に身振り手振りをまじえて演じているのも好きになれない。
ダルジュロスとアガートを二役で演じているルネ・コジマも、特にダルジュロス役が、ポールが憧れるほど美しくは感じられなかった。ただちょっと張國榮(レスリー・チャン)を彷彿させる点が、ポールとダルジュロスの同性愛っぽい雰囲気にリアリティを与えているように思われる。
マントにベレー帽に半ズボンにルーズソックスの中学生ファッションには魅了された。メルヴィルの映画には、毎回のようにベレー帽が出てくるのがうれしい。バッハとヴィヴァルディによる音楽もよかった。