実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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「小津安二郎 - 小津安二郎は落語だ!」(立川志らく)(『NHK知る楽 こだわり人物伝』2009年12月-2010年1月)[O115-5-19]

NHK教育テレビのテキスト『NHK知る楽 こだわり人物伝』2009年12月-2010年1月の『小津安二郎 - 小津安二郎は落語だ!』を読了。たまたま昨日本屋で目についたもので、このようなテレビ番組も全然知らなかったし、落語を聞かないので立川志らくという人も知らない。

こだわり人物伝 2009年12月ー2010年1 (NHK知る楽/水)

こだわり人物伝 2009年12月ー2010年1 (NHK知る楽/水)

そんなわけで特に期待もしていなかったが、これがなかなかおもしろかった。内容をひと言で要約すれば「小津映画は落語的である」ということになるが、落語を知らないのでこれについては判断できない。細かい点をみれば賛同できないところも多々あるが(間違いもある)、全体を貫いている、小津映画を難しく考えたり深い意味を探ったりしないで楽しむという姿勢に賛同する。

賛同したり興味深く思ったのは次のようなところ。

  • 小津映画の面白さは、フレーズの面白さ、「リズム」(会話の間のとり方)と「メロディ」(しゃべりの個性)のよさである。
  • ローアングルや切り返しには深い意味があるわけではなく、構図を重視したものである。
  • 『晩春』[C1949-01]の壺のシーンには、別に象徴的な意味などない。
  • 小津映画はヘンだから面白い。小津映画には変態的なところが多いが、『東京物語[C1953-01]や『晩春』はそれが二、三割程度に抑えられているので、一般的には名作とみなされている。