実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『この手紙を読むときは(Quand tu liras cette lettre)』(Jean-Pierre Melville)[C1953-27]

フィルメックス最終日は朝から出京。今日はジャン=ピエール・メルヴィル特集で2本観る予定。まず1本めは『この手紙を読むときは』。このタイトルは何なんだろうと思ったら、「あなたがこの手紙を読むときは、わたしは…」という、手紙の中の一種の決まり文句だった。『あなたがこの手紙を読むとき』とかのほうがいいんじゃないかと思う。このフレーズが書かれた手紙が2回登場し、手紙の中で想定された「わたしは○○している」という状況は常に裏切られる。死ぬ必要のない者は生き残り、死ななければならない者は死ぬ。

ヒロインのテレーズを演じるのはジュリエット・グレコ。彼女の顔はけっこう個性的だと思うが、思いのほか美しかった。俗世にいるときのきりっとした感じもいいが、修道女姿が似合いすぎ。尼僧萌えの人は必見(『ムアラフ - 改心(Muallaf)』[C2007-39]のブライアンとかね)。ただ、たとえば若尾文子が尼僧だと、観客に「邪念をもってよ」と訴えている感じだが、ジュリエット・グレコの場合は邪念をもってはいけないような美しさ。せっかくグレコだから一曲歌ってほしいとも思ったが、残念ながら歌はなし。

相手役のジゴロ・マックスを演じるのはフィリップ・ルメール。笑った顔が下品なので、どうして彼がそんなにモテるのかがよくわからないし(近づくとフェロモンが出ているのかもしれないが)、テレーズには本気というのがいまひとつ信用しづらい。

結果からいえば、テレーズは、妹を傷つけ、マックスを死なせるために俗世に戻ったということになる。それもこれも「神の御意志」ということになるのか。フィルメックスのチケットが取れないのも「神の御意志」とか考えると心安らかに過ごせそうだが、チケット一枚に一喜一憂しないと人生楽しくない。

あと、死亡事故なのに事故処理が超簡単だったのに驚き。今の日本でもこうなら、JRは毎日毎日毎日毎日遅れなくてすんでいいのにね。