実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『團栗と椎の實』(清水宏)[C1941-S]

今日も昼ごはんを食べてから出京。今日は東劇でのニッポン★モダン1930を1プログラムのみ。清水宏監督の『團栗と椎の實』と『花形選手』の2本立て。大山健二特集なので、J先生も午後半休を取って参戦。

1本めは短篇の『團栗と椎の實』。超レアな作品なので、当然これがメインだと思っていたが、どうやら添え物らしい。わたしにとっては今年のフィルメックスの目玉のひとつだ。

タイトルの『團栗と椎の實』というのは子供を木の実に例えたもので、東京から来たひ弱な主人公・秋雄(大塚紀男)が椎の実。田舎のたくましい子供たちが團栗。大山健二、若水絹子夫妻の養子になって田舎にやって来た秋雄は、細い橋を渡ったり木に登ったりする田舎の遊びについていけずにさんざんウジウジしていたが、木登りを克服したとたん、ガキ大将になってしまうというたわいもないお話。

田舎の子供たちの大将は爆弾小僧(横山準)。どう見ても爆弾小僧がいちばん東京の子供に見えるけれど、いちばん背が高い(おそらく年も上なのだろう)のでそんなに違和感はない。いつものわざとらしい大泣きも披露。最後の仲直りシーンがかわいらしくていい。

29分のうちのかなりの部分は、子供たちが学校から帰るところ、遊びに行くところなどの移動シーンで、もう観ているだけで幸せ。いい感じに橋が配置されたロケ地も美しく、このままずっと観ていたいと思わせる幸福感あふれる映画。いろんなところで『冬冬の夏休み(冬冬的假期)』[C1984-35]を彷彿させる映画でもある。

大山健二は上述のように養父役。わたしの定義では、大山健二は常に学生であり、寝るか食べるか以外しちゃいけないので、お父さん役は反則である。お忙しいお仕事がおありになるそのさなか、大山健二のためにわざわざ来たJ先生も、さぞがっかりしたことだろう。ちなみにこのお父さん、子供が学校から帰ってくるといつも家にいるが、地主で働かなくてもいいご身分なのか?(いいなあ)