今日は午後の一本だけなので、昼ごはんは横須賀線の中でパラダイス・アレイのフォカッチャとあんぱんを食べる。お行儀悪い。
観たのは、アジアの風の『愛してる、成都』。四川大地震がらみのオムニバスで、2029年篇を崔健(ツイ・ジエン)が、1976年篇を陳果(フルーツ・チャン)が監督している。許秦豪(ホ・ジノ)も参加していたが、長篇の『きみに微笑む雨』となってぬけた。この映画はその脱け殻で、二本じゃどうにもしまらない。
崔健のパートは、四川大地震から20年後、大人になった震災孤児を描いていて、そのアイデアはおもしろい。しかしメインのストーリーは、台詞による説明が多くていただけない。それに、2029年だからということで、近未来風のパーツがいろいろ出てくるのが浮きまくっている。別に現在のままでよかったのではないかと思う。武芸に絡めて崔健が言いたいことはなんとなくわかるけれど、それは別に四川大地震や成都と関係がない。
陳果のパートは、まず主人公の郭濤(グオ・タオ)のあまりの汚らしさに引いてしまってのれなかった。注ぎ口の長いヤカンを使った茶芸も、あまりにアホらしいのでフィクションかと思ったら、実際にあるものらしい。でも、実は伝統的な茶芸ではなく、最近の観光化のなかで出てきたものだとのこと。
お話は次第に重くなっていき、文化大革命の傷痕、唐山大地震、そして毛澤東の死で終わる。しかし、なんだか使い古された、手垢のついた話という感じ。それでも陳果の話では、入れることのできないシーンがあったとのことだが…。そもそもなんでわざわざ香港から成都に行った陳果が、香港とはぜんぜん関係のないこんな話を撮るのか、そこのところがよくわからない。
上映後は陳果監督をゲストにQ&Aが行われた。崔健が未来の話を撮ると言ったので、陳果が過去で、許秦豪が現在ということになったらしいが、ほかには特に制約もなく、互いに相談もしなかったらしい。『きみに微笑む雨』には期待しているが、ちょいと心配でもある。