ババを食べながら観たのは、もちろんルキノ・ヴィスコンティの『山猫』。イタリア語・完全復元版。わたしはこの映画をスクリーンで二度観ているが、どのバージョンだったかは憶えていない。原題を“The Leopard”と書いているので、英語版だった可能性が高い。
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舞踏会は、一見昔ながらの貴族の大舞踏会のように見えて、そこには古くからの貴族だけではない、様々な人々が集っている。カロージェロのような新興ブルジョワジー、ガリバルディを撃った大佐、新しい時代に順応していくタンクレディのような若い貴族。この舞踏会は時代の縮図である。統一とはいいながら、王様が変わっただけのようにもみえる新しい世界。裏切られた革命、忘れられた理想、変わり身の早い人々。貴族の娘たちは醜く、カロージェロの娘、アンジェリカだけが美しい。新しい時代に理解を示そうとした公爵の希望が、すべて失望へと変わっていくさま、そのやり場のなさ、死へと向けられる思い。この舞踏会のシーンは、それを長い時間をかけて描いているようにみえる。
サリーナ公爵=バート・ランカスター、タンクレディ=アラン・ドロン、アンジェリーナ=クラウディア・カルディナーレというキャストは最高。バート・ランカスターのサリーナ公爵は、巨体で怒りっぽい小説のサリーナ公爵より知的な雰囲気である。
映画の舞台は、大まかにいって、序盤=パレルモ郊外のサン・ロレンツォ、中盤=ドンナフガータ、終盤=パレルモ。サン・ロレンツォとパレルモは屋内のシーンが多いので、ロケ地へ行けたとしてもせいぜいパラッツォの外観を見る程度だろう。しかし、ドンナフガータのシーンは町がけっこう出てくるので、ロケ地はよくわからないが、ぜひとも行ってみたい。やっぱりイタリアはシチリアだ。
これで晩ごはんが山猫軒だったら、カンペキだったんだけれど。