仕事のあと、昨日届いたサロメの唇の『熱海秘宝館のテーマ』をリピートで聴きながら六本木へ。頭の中がとろけそう。
- アーティスト: サロメの唇,水のさとし
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犯人が明らかになる後半は、ナレーションもほとんどなくなり、逃走する犯人を刑事たちが追い詰めていく様子が淡々と描かれる。舞台は下水道で、水に反射した陽がゆらゆら揺れたりするのがいい。前半は前半で興味深いけれど、どっちがいいかと言われたら断然後半である。
スターは全然出ておらず、のちにスターになるのが丹波哲郎と土屋嘉男。タンバは犯人で、土屋嘉男は刑事。タンバは無名から抜擢されての主演だが、初主演作にして社長。初主演作にして殺人容疑者。若くて二枚目なのに、やはり怪しい雰囲気。もう少しあとのタンバとくらべると、役柄にも演技にも余裕がない。台詞はほとんどないが、声やしゃべり方もいまひとつタンバっぽくなかった。でもやはり、この映画後半の魅力は彼の存在感に負うところが大きい。ちなみにこの映画は出演者のクレジットが最初と最後に二度あって、最初のクレジットでは「丹波哲郎」、最後のクレジットでは「丹波正三郎」となっている。
タンバ主演もさることながら、この映画のいちばんの魅力は東京ロケ。低予算だからオールロケと思われ、銀座とか新橋とか渋谷とか五反田とかじゃんじゃん出てくる。近代建築の並ぶきれいな街並みも見られるが、まだ焼け跡とか闇市とかバラックとかいった雰囲気の残る1952年の東京。
警察署内での捜査会議も畳敷きの部屋。車座になり、黒板などもなしで会議をしている。あれも本物の警察署なのだろうか。すごく暑そうだけれど、捜査課長と土屋嘉男はいつもきっちりネクタイをしている。
街中での撮影も、エキストラではなく本物の通行人のようだ。刑事が追いかける容疑者を通行人がつかまえるシーンがあるが、これは撮影と知らない善意の通行人が偶然つかまえてくれたらしい(『大俳優 丹波哲郎』[B705]より)。このあたりは俯瞰で撮られているが、群集のなかに警官がいて、何かが起きている気配を感じて微妙に現場に近づいていくのが見える。そこでシーンが終わってしまうが、本物だとしたらあのあとどうなったのかちょっと気になる。
- 作者: 丹波哲郎,ダーティ工藤
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新東宝特集はあいかわらずすいているが、しつこいけれど次は「ニュー東映大全集」をやってね。硬派な映画を堪能したところで、また脳ミソをとろけさせながら帰る。愛に〜愛に〜愛にささやく熱海秘宝館〜♪