実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『女王蜂の怒り』(石井輝男)[C1958-32]

シネマート六本木で「新東宝大全集」を観るため、遅めに出京。今日は一日まるごと石井輝男というすごいプログラムだが、後半の2本は観ているので、スクリーンで未見の2本を観る予定。前売り券を座席指定券と引き換えたあと、時間があったのでエクセルシオール・カフェでお茶。この手のカフェでは、禁煙席は1階や入口近くの寒くて居心地の悪い場所に置かれて冷遇されている。ゆっくりしたいときは禁煙のスターバックスへ行くこともあったが、ガザ侵攻以降、スタバがイスラエル支援企業だとわかって行けなくなった(ダノンのヨーグルトも食べられなくなった)。別のカフェが代わりに禁煙に踏み切ってくれることを希望する。

石井輝男一本めは『女王蜂の怒り』。

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主演は久保菜穂子に宇津井健と、全くうれしくない。宇津井健、かっこわるー。役柄、造型、セリフ、どれをとっても「石原裕次郎の二番煎じを狙って失敗しました」というのがありありとわかって見苦しい。百恵ちゃんのおとうさんのころより重そうな体でのアクションとか、ピストルの腕を買われたという設定なのに、ピストルをくるくる回す手つきの危なっかしさとか、アキラが言ったらキマるかもしれないキザな(クサい)セリフが完全に浮いているところとか、何から何までかっこわるい。正体を明かす最後の見どころなんて、学芸会かと思いました。お話はそれなりにおもしろいが、宇津井健が出ているところは全部かっこわるい。

一方の久保菜穂子は、古風な顔立ちが好みではないし、セリフも棒読みっぽいし、女親分なのにアクションもない。脇役の三原葉子の貫禄に完全に負けている。

主役はしょぼいけれど、なんといっても注目はフランケンシュタインみたいな菅原文太。いかにもギャングというバタ臭い雰囲気で、のちの東映での、どちらかといえば日本的でナチュラルなイメージとは対照的。ファッションモデル出身というのがはじめて納得できた。でも注目なのはそこ(だけ)ではなくて、そのバリバリに作りこんだ雰囲気。顔の皮膚が本当の皮膚ではなくて、まるでお面みたい。

悪役のボスは天知茂。着流し姿もシルクハット姿もなかなかキマっていた。近衛敏明石井輝男作品ではおなじみのエロじじい役で活躍(?)していて、J先生も大喜び。