実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『チェ 39歳 別れの手紙(CHE: Guerrilla)』(Steven Soderbergh)[C2008-18]

渋谷へ移動。昼ごはんのあと、渋東シネタワーで『チェ39歳(家事手伝い)』、じゃなくて『チェ 39歳 別れの手紙』を観る。まだ二週めなのにかなりすいている。

チェ 39歳 別れの手紙 [DVD]

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冒頭でゲバラの失踪が明らかにされ、フィデルが別れの手紙を読み上げると、ゲバラは別人になりすましてボリビアに入国する。それからあとはボリビアでのゲリラ活動が日記風に綴られる。南米を感じさせる空気がただよう美しい風景のなか、対照的に次第に追いつめられていく様子が淡々と描かれる。風向きがすっかり変わってしまい、キューバのときと同じようなことをやっていてもすべてが裏目裏目に出てしまうのが、いろいろと身につまされたりする。

ボリビアを移動しているあいだ、チェはいつも集団のなかの一人であり、あまり目立たない。それが捕まったとたん、一転してチェが中心となる。淡々とした進行は変わらないが、空気が微妙に濃密になり、心を揺すぶる展開に変わっていく。淀んだ空気のなか、憔悴したチェのたたずまいが心に残る。彼が殺されるところから最後まで、彼の死を直接見せないところや音楽の使い方、エンディングなど、なかなかよくできていると思う。

食べ物の調達に苦労し、追いつめられるにしたがってどんどん飢えていくお話である。ところが、チャオタイで昼ごはんを食べたあと、クリスピー・クリーム・ドーナツまで食べておなかがぱんぱんだったので、彼らの飢えを切実に感じることができなかった。