実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『ホモセクシャルの世界史』(海野弘)[B1306]

ホモセクシャルの世界史』読了。とりあえず、『ブライヅヘッドふたたび』[B850]を再読し、『アナザー・カントリー』[C1984-04]を再見したい。

ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)

ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)

海野弘氏の本は昔はけっこう読んでいたが、最近はノーチェックだったので、こんな本が出ていることは文庫化されて初めて知った。欧米を中心に、ホモセクシャルの歴史をギリシアから二十世紀まで紹介した、約600ページの大著。「○○(名前)は×××××(出自や職業の紹介)で、ホモセクシャルであった。」というような文が延々と続くので、読んでいるうちに世の中の男性がみんなホモセクシャルに思えてくる。

それはともかく、とてもおもしろくためになる本だった。読んでわかったこと、印象的だったことを、記憶に基づいていくつか挙げておく。

文章は、もう少し改善の余地があると思う。とにかく多くの人が登場するので、つながりに工夫がほしいし、ひとりひとりの記述はダイジェスト的にならざるを得ないが、そのわりに同じことが何度も書いてあったりする。本文とは別に、人物のリストや関連図があるとよりいい(関連図はいくつかあるが、「こんなの書いてどうする?」というごく簡単なもので、何の役にも立たない)。

「世界史」なのに欧米だけというのも解せない。中国や中近東や日本のことも知りたいので、ぜひそちらを紹介した続編も書いていただきたいものである。