『ホモセクシャルの世界史』読了。とりあえず、『ブライヅヘッドふたたび』[B850]を再読し、『アナザー・カントリー』[C1984-04]を再見したい。
- 作者: 海野弘
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
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それはともかく、とてもおもしろくためになる本だった。読んでわかったこと、印象的だったことを、記憶に基づいていくつか挙げておく。
- フランスでは、1981年まで警察がホモセクシャルを監視していた。
- ホモセクシャルを犯罪とする法律は、イギリスでは1967年まで、テキサス州では2003年まで残っていた。
- 昔は、キリスト教よりもイスラム教のほうがホモセクシャルが容認されていた。
- 19世紀にはホモセクシャルは罪であったが、20世紀には病となった。
- ホモソーシャル、ホモエロティック、ホモセクシャルという段階がある。
- 20世紀においては、世界恐慌、第二次世界大戦、冷戦といった出来事と、ホモセクシャルに対する抑圧とが連動している。
文章は、もう少し改善の余地があると思う。とにかく多くの人が登場するので、つながりに工夫がほしいし、ひとりひとりの記述はダイジェスト的にならざるを得ないが、そのわりに同じことが何度も書いてあったりする。本文とは別に、人物のリストや関連図があるとよりいい(関連図はいくつかあるが、「こんなの書いてどうする?」というごく簡単なもので、何の役にも立たない)。
「世界史」なのに欧米だけというのも解せない。中国や中近東や日本のことも知りたいので、ぜひそちらを紹介した続編も書いていただきたいものである。