実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『国際広報官 張超英 - 台北・宮前町九十番地を出て』(張超英/陳柔縉)[B1313]

『国際広報官 張超英 - 台北・宮前町九十番地を出て』読了。

国際広報官 張超英―台北・宮前町九十番地を出て

国際広報官 張超英―台北・宮前町九十番地を出て

台湾の駐日代表処新聞組長として活躍した張超英氏の自伝。生まれがお金持ちの坊ちゃんなので、日本統治時代のお金持ちの暮らしぶりがわかって興味深い。広報官になってからは、台湾の要人と日本の要人を秘密裏に会わせたり、日本の三大新聞に支局を置いてもらうための活動や李登輝に自伝を出版させるための活動など、精力的な活動が描かれていて興味深く読んだ。しかし全体的に、核心にふれていないというか、ダイジェストを読んでいるような雰囲気で、いまひとつ時代の空気みたいなものが伝わらない。本人はそのつもりはないと思うが、多少意地悪な見方をすれば、実家の暮らしぶりから自己の信条、仕事上の成果まで、壮大な自慢話を聞いているような気にならないでもない。

個人史的にも台湾史的にも、年譜上の重要項目がきちんと順番におさえられていないため、わかりにくい点も多い。口述筆記だからということもあるが、執筆者はもう少しまとめ方をどうにかできなかったかと思う。

日本に関する記述では、褒めすぎだったり、人物や会社の紹介があまりに単純化されていて、苦笑するところもある。一方、李登輝宋楚瑜についてなど、悪口も正直に書かれているところはおもしろかった。