実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『遠い道のり(最遙遠的距離)』(林靖傑)[C2007-07]

今日の2本めは、ふたたび六本木で林靖傑監督の『遠い道のり』。これは昨年の東京国際映画祭で観たので2度め。映画祭で観ていないJ先生のつきあいである。

感想は、前回(id:xiaogang:20071024#p1参照)と基本的に変わらない。あらためて、ラストシーンがいい。あらためて、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)の役に異議あり。桂綸鎂は好きだけれど、どうもこの女性にはいまひとつ魅力が感じられない。不倫に疲れてアルコール依存症気味という設定がとにかく陳腐で、前の住人宛に送られてくるカセットテープの音に魅せられるのも、依存する対象がアルコールから音に変わっただけに見える(だいいち依存度合いが異常である)。音を探しに旅に出るのも、直面している問題から逃避しているだけに見える。次第に送り主に興味を抱くようになるが、送り主がフリーで若くてハンサムで不倫相手よりいい男ならすべて解決、めでたしめでたしっていうお話。さすがにそこまでは描かれていないが、そうなりそうな予感を漂わせて終わる。逃避していたら、問題は解決しちゃいました、みたいな。いいんですか、そんなんで。

『練習曲』[C2007-32]を観てから観ると、やはり類似や影響を感じる。その反面、かなり違うことにも気づく。『練習曲』に比べて、こちらはコンセプトがかなり曖昧。人と人、人と自然とが影響しあうさまの描き方もいまひとつ不十分。なんだか東海岸へ行きさえすれば問題が解決するみたいなのがどうも引っかかる。

あらためて気になる賈孝國(ジア・シャオグオ)の気持ち悪い服装だが、狙いなのか、いいと思ってやっているのかがいまひとつつかめない。服といえば、桂綸鎂は毎日違う服を着ているが、荷物はそれほど大きくないリュックだけなので、そんなにたくさん入るわけがない。

なんだか悪口ばかりになったが、ラストがいいのでちょっと捨てがたい余韻もある。

「台湾シネマ・コレクション2008」で観る映画はこれで終わり。質的には「中国インディペンデント映画祭」より劣っただろうが、わたしにとって台湾映画は特別だからしかたがない。端的にいえば、應亮(イン・リャン)の映画がいかにすばらしくとも、いつか四川省自貢市に行けるかどうかわからない、でも台湾には1年以内に行くだろう、そういうことだ。

しかし、ちょっと前までは上映される台湾映画はほとんど観ていたが、だんだんそうでもなくなってきた。今回の特集では、『DNAがアイ・ラブ・ユー』と『シルク』を観なかったし、最近公開された映画では、『カンフーダンク』も『闘茶』も観ていない。どうしても観たいと思わないものは、無理に観ようとは思わなくなった。アジア海洋映画祭で上映された『海角七号』はすごく観たかったが、夕方から幕張ってちょっと無理だ。この映画はたいへん評判がいいので、ぜひともどこかで公開していただきたい。ついでに、張作驥(チャン・ツォーチ)の“蝴蝶”と鄭文堂(チェン・ウェンタン)の“夏天的尾巴”もよろしくお願いします。

昼間も新宿の無印良品へ買い物に行ったが、また有楽町店へ行ってMeal MUJIで晩ごはんを食べて帰る。