3本めは、『心のともしび』に続くダグラス・サークのメロドラマ、『天が許し給うすべて』を観る(DVD)。
ダグラス・サーク コレクション DVD-BOX 1 (僕の彼女はどこ/心のともしび/天の許し給うものすべて) [初回限定生産]
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2007/10/10
- メディア: DVD
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舞台は、アメリカの小さな街の郊外の上流社会。上流階級の未亡人(ジェーン・ワイマン)と年下の庭師(ロック・ハドソン)の結婚に干渉し、反対する偏狭な社会が描かれている。周囲がふたりを認めるという形のハッピーエンドではなく、ジェーン・ワイマンがこれまで大切にしてきた価値観や社交界は、守る価値のないものだということを理解し、それを捨てるという形でのハッピーエンド。『女の中にいる他人』では、男の正しさは女の世間体の前に崩れ去ったが、こちらでは男の正しさが勝利する。結末は違っても、いずれも男のほうが正しいというところに多少の反発を感じないでもない。
ジェーン・ワイマンは、自分がこれまで生きてきた世界とロック・ハドソンが提示する世界のあいだでさんざん葛藤するのだが、ロック・ハドソンのほうにはほとんど葛藤がない。わたしも彼のほうが正しいとは思うが、この映画でのロック・ハドソンはあまりに自信満々なところがちょっと嫌味である。
ロック・ハドソンとジェーン・ワイマンの関係の変化が、ウェッジウッドのティーポットで表現されていたのがよかった。一度別れたふたりがクリスマスツリーの店で再会し、凍りついたように見つめ合うシーンも印象的。秋から冬にかけての風景が美しく、テレビがいかにも邪悪なものとして登場していたのも興味深い。