同じビルに戻って今度はシネマヴェーラ渋谷。先週に続き「内田吐夢百十年祭」で、『宮本武蔵 二刀流開眼』(映画生活/goo映画)を観る。『宮本武蔵』シリーズのなかで、唯一劇場で観ていなかったもの。
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2003/03/21
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『二刀流開眼』の魅力は、宮本武蔵(中村錦之助)、吉岡清十郎(江原真二郎)に加えて、佐々木小次郎(高倉健)、吉岡伝七郎(平幹二朗)が登場すること。これで役者はそろったという感じで、物語が本格的に動き出す躍動感やワクワク感に満ちている。もう楽しくて楽しくて、ずっと気分を高揚させて観た。
なかでもいちばんの魅力は、もちろん佐々木小次郎。その登場からして華々しく、小次郎対ニセ小次郎のシーンも楽しい。卑怯で屁理屈野郎でむさくるしくて暑苦しい武蔵より、わたしは断然、小次郎派だ(J先生はおばば派だそうだ)。ちなみに健さんはいつも渋い顔や苦い顔をしていると思っている人は、一度この映画を観てみるといい。終始ヘラヘラしていて大胆不敵で自信満々で、実に爽快だ。
一方、このシリーズのいちばんの問題点は、お通さんの配役である。まったく演技以前の入江若葉では、同情する気も応援する気も起こらない。どうみたって朱実(丘さとみ)のほうがいいと思う。ちなみに稲垣版(三船版)でも、お通が八千草薫で朱実が岡田茉莉子だから、断然朱実のほうがいい。
ところで、内田吐夢特集をやってくれるのはたいへんありがたいのだが、なぜ真夏にやるのか。『宮本武蔵』シリーズなんて超暑苦しくて真夏には向いていない。本作も、まだ暑さのとれない冒頭から、錦ちゃんがシリーズ屈指の暑苦しい演技を見せる、環境にやさしくない映画だった。