実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『白い馬(Crin Blanc)』(Albert Lamorisse)[C1953-S]

急いで銀座に移動してシネスイッチ銀座に行くが、整理券も席の指定もないと言われてがっかり。しゃぶしゃぶランチを食べてふたたび劇場に戻り、アルベール・ラモリスの『白い馬』『赤い風船』の二本立て(公式)を観る。ラモリスの映画を観るのは初めて。

まずは『白い馬』(映画生活/goo映画)。モノクロ映像、馬、韓国スターのような長い前髪の美少年という組み合わせは、『赤い風船』と比べてかなりシャープな雰囲気。馬が疾走するシーンや突然暴れ出すシーンが何度もあり、躍動感に満ちている。

少年と白い馬との友情などと書かれているのを目にするが、それは人間側の勝手な妄想という気がする。わたしはどちらかといえば、白い馬に魅入られてしまった美少年の悲劇と感じた。白い馬にとっては、たとえ気に入った相手であろうと人間に飼われることによって幸福にはなり得ない。したがってこの物語は最初から悲劇になるべく運命づけられており、そのことが映画に陰影を添えている。