芸術新潮8月号の「大特集 北京」をほぼ読了。
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/07/25
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログ (5件) を見る
北京オリンピックもこだわっている「8」という数字に着目し、「北京八景」として8項目の主題を取り上げ、それぞれについて8個ずつ選んで紹介するという趣向。北京八景は、建築、映画、庭園、歴史、文学、料理、雑貨、故宮。一例として「建築」で選ばれているのは、鐘楼、孔廟と国子監、雍和宮、古観象台、東堂、五塔寺、白塔寺、牛街礼拝寺。わたしの意見とは大分違うが、まあいいだろう(行ったところが半分くらいしかないぞ)。
でもひとつだけ文句を言いたいのは「映画」の項。賈樟柯(ジャ・ジャンクー)のインタビューが載っているのはうれしいが、どうして紹介されているのが賈樟柯の撮った8枚の写真なんだ? それはそれで興味深くはあるけれど、北京を描いた映画を8つ選ぶのがふつうだろう。読者(つまりわたし)はそれを求めています(きっぱり)。ということで、編集部に代わってわたしが選ぶことにする。条件は、全編にわたって北京が主な舞台である作品で、一監督一作品。
- 『私たち(我們倆)』(馬儷文)
- 『世界(世界)』(賈樟柯)
- 『冬至(冬至)』(謝東)
- 『藍宇 情熱の嵐(藍宇)』(關錦鵬)
- 『太陽の少年(陽光燦爛的日子)』(姜文)
- 『広場(廣場)』(張元、段錦川)
- 『青い凧(藍風箏)』(田壮壮)
- 『北京好日(找樂)』(寧瀛)
順序は新しい順。ひとつ選べといわれたら『藍宇』だが、わかりやすく北京の魅力が溢れていて、映画の出来とのバランスもとれているのは『太陽の少年』だろうか(『藍宇』に出てくるところは、残念ながら全然わからない)。『私たち』と『冬至』は映画祭上映のみの未公開映画。未公開映画を入れないとなるとちょっと難しいかも。
「庭園」の項の頤和園の写真を見て、やっぱり『天安門、恋人たち』[C2006-46](これは前半だけ北京なので対象外)で余紅と周偉がデートしていたのは頤和園だったなと思う。「頤和園より円明園」と思っていたが、こうして見ると頤和園もなかなかいい。わたしが行ったときは黄金周で人がうじゃうじゃいたので、今度はすいているときに行きたいものだ。
読んでいて少しショックだったのは、北京人が「胡同には住みたくない」とか「二環の内側(城内)には行かない」とか言っていたこと。しかし考えてみれば、わたしも谷根千や浅草が好きだが滅多に行かない。でもわたしは東京人じゃないので、映画館のある街にしか行くヒマがないのだ。