『謝々!チャイニーズ』読了。
- 作者: 星野博美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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しかしわたしがこれを読んでいない理由はほかにもある。それはタイトルである。こういう臆面もないタイトルをつけること自体「ちょっと…」と思うが、それは措くとして、このタイトルには次のような問題がある。
- なぜ「謝謝」ではなく「謝々」なのか?
- 「!」はやめろ。
- なぜ「中国人」ではなく「チャイニーズ」なのか?
さて内容だが、旅で出会った人を中心に書かれているので、知らない場所の話にしてはかなりおもしろく読める。ここに書かれている改革開放の歪みやそれについての著者の考えは、そんなに目新しくもなく、比較的凡庸である。しかし、具体的な人物、具体的な出来事とともに語られているという点が重要である。また、旅をしたのが1993〜1994年であり、本が出たのが1996年であることを考えると、当時としてはかなり新鮮だったのかもしれない。
登場する人々の話はどれも興味深いが、わたしのお気に入りは寧波の包おじさんである。
「…大きいのが出ない日は体の調子が悪い。そういう時は仕事は休むことにしている。……」(p. 365)
すばらしい。
全体として熱く、それが少しうざったく感じられるところもあるが、つまるところ著者の若さがにじみ出ていると思う。しかし、かなりうざい「おわりに」はないほうがよかった。
ところで、南中国では、「肌の日焼け具合もまた、職種や経済状況を類推するある程度の指標になる」(p. 257)とのことである。J先生は南中国には行かないように。