実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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マレーシア旅行第五日:怡保(Ipoh)

  • 目覚めると大雨の音。朝食開始の7時半にヴェランダに出ると、すでに少年少女たちの朝食は終わり、自由にくつろいだりしている(左写真)。彼らは、Ipoh(イポー)に旅行に来てここに泊まっているのではなく、ここで研修か合宿のようなものをやっているようだ。ほかに一般客は見当たらず、彼らの次の活動のためかテーブルの回収が行われていたが、席を作ってもらって朝ごはんを食べる。予想より豪華な朝食(右写真)が運ばれてきたので胸がおどる。パンが少しかびていたが、ローカルコーヒーが嬉しい。外ではミルク砂糖入りのkopiを飲むので、朝だけはブラックを楽しむ。


  • 出かけるころには雨は止んだ。まず、公園になっている駅前広場から、Stesen Keretapi Ipoh(Ipoh Railway Station/イポー鉄道駅)(上写真)やDewan Bandaran Ipoh(City Hall/市民ホール)(下左写真)、Mahkamah Tinggi Ipoh(High Court/高等裁判所)などを眺める。それから『細い目(Sepet)』[C2004-32]に出てくるKelab Diraja Ipoh(Royal Ipoh Club)(id:xiaogang:20080430#p2参照)、『グッバイ・ボーイズ(Goodbye Boys)』[C2006-06]に出てくるSt. Michael Institution(id:xiaogang:20080430#p3参照)などを見ながら駅前のJl. Panglima Bukit Gantang Wahabを北上。Ipohの歴史の展示があるDarul Ridzuan Museum(ダルル・リズアン博物館)へ行き、引き返して1908年竣工のIndian Mosque(下右写真)を見る。なかなかいい感じ。


  • 午前中は旧市街を探検。真っ暗だった夜とは違い、昼間はかなり賑わっている。とにかく建築の宝庫で、北寄りには銀行などの大きい建物が並び、Jl. Bandar Bijih Timahにはコーヒーショップなどが並ぶ。1906年竣工のF. M. S. Bar & Restaurant(上左写真)やHSBC(上右写真)、そのほかたくさんの興味深いデザインのショップハウスなど(中/下写真)を見る。通りの左も右も、曲がり角の向こうも気になる建物だらけで、狭い旧市街とはいえ、くまなく見てまわるのは不可能である。


  • 午前のお茶は、通りがかりの南洲白咖啡で白咖啡(左写真)を飲む。Ipohといえば白咖啡だというので、「絶対飲むぞー」とリキんでいたが、実はいつも飲んでいるミルク砂糖入りkopiのことらしい。昼ごはんは南香茶餐室(右写真)で炒粿條(char kway teow)。今度はアイスの白咖啡。前の屋台で、今川焼の皮だけをパリパリに焼いたようなおやつも買う。


  • 今回初めてかもしれない路上のドリアン売り(左写真)を見かける。食べたいけれど、街がまだドリアンモードになっていないため、いまひとつソソられない。お気に入りのBas Sekolah(スクールバス)の雄姿も捕捉(右写真)。マレーシアのスクールバスはすべてこのデザインで、『ムクシン(Mukhsin)』[C2006-18]にも『父子』[C2006-14]にも出てきたはず。


  • 午後は新市街へ。新市街というからには古い建物はないのかというとそんなことは全くない。昨日車で目抜き通りのJl. Sultan Idris ShahとJl. Sultan Iskandarを走ったら、かなりすごかったのでそのあたりを中心に歩く。Sungai Kinta(キンタ川)を越えたとたん、上左写真の廃墟がお出迎え。あとは通りの左も右も、曲がり角の向こうも気になる建物だらけ。個性的な金舗(上右写真)やカキ・リマ(五脚基)の二階部分がヴェランダになっている珍しいショップハウス群(中左写真)、一戸建ての中華バロック風建物(中右/下左写真)やかつて映画館だった建物(下右写真)など。12年前、競馬にうつつをぬかしてこのすごさに気づかなかったわたしは大馬鹿者である。


  • カキ・リマ(五脚基)は台湾にも残っているが、柱や床が新しい味気ないものに替わってしまっているところが多い。ところがここIpohでは、アーチ型に切り抜かれた壁や店名が彫られた柱がそこかしこに見られる(写真)。五脚基好きにとってはとても嬉しい。


  • 午後は、華南白咖啡餐室でTeh Ais(テ・アイス)を飲んだり、Ipoh ParadeのフードコートでAis Kacang(アイス・カチャン)を食べたりする。マレーシアのおやつといえばAis Kacangだけれど、これがなかなか見つからない。コーヒーショップのメニューにもないところが多いし、頼めばあるのかもしれないが、誰も食べていない。今回マレーシアに来て気になっていることだが、マレーシア人はお茶を飲んだりおやつを食べたりしないのだろうか。コーヒーショップはいつも混んでいるが、どんな時間に行っても、わたしの分類でいえば「ごはん」にあたるもの(麺など)を食べている。食事は三度きちんと、10時と3時にはおやつ、夜食べるなら夜食ではなくおやつ、というわたしの生活信条からすると好ましくない状況である。
  • 今日はいくつかのショッピングセンターでトイレに行った。Yik Foongは20Senで、OceanとIpoh Paradeはタダ。どこも紙がなくて汚いが、強いていえばIpoh Paradeがお薦め。Ipoh Paradeには百盛(Parkson)やCold Storageというスーパーが入っており、Cold StorageでBoh Teaなどのおみやげを買った。
  • おみやげが邪魔なのでいったんホテルに戻る。途中でMenara Jam J. W. W. Birch(Birch Memorial Clock Tower)を見て、Dato' Sagor Food Courtへ。マレー系だが中文も書いてあり、氷だと思って西瓜雪というのを頼んだらただの西瓜汁だった。でも西瓜汁はやっぱりうまい。ホテルに戻ると、合宿は終わったらしくて静かになっていた。
  • 晩ごはんを食べにふたたび出かける。午前中は賑わっていた旧市街のJalan Bandar Bijih Timahへ行ってみるが、コーヒーショップはすべてもう閉まっている。興味深い建物が多すぎて憶えきれないし、お店が閉まるとまた雰囲気も変わるので、「この建物もう撮ったっけ?」と言いながら歩く。まだ撮っていない建物も当然ある(写真)。


  • ふたたびSungai Kintaを越える。新市街もかなりうろうろしたが、夜やっているのは海鮮料理屋と西洋料理屋と一部のフードコートだけのようだ。結局、海上天小食中心(Skyway Eatery)というフードコートで肉骨茶を食べるが、内臓肉が入っていていまひとつ。このまま帰るのは寂しい気分で歩いていたら、Ipoh Padangの近くに舊街場白咖啡(Old Town White Coffee)(公式)というカフェができていた。隣もHappy Valleyとかいう似たような店だったが、「マレーシアに来てHappy Valleyはないよな」ということで、舊街場白咖啡のテラスでお茶。
  • 歩数はわからないけれど、今日撮った写真はふたりで384枚。昼ごろから晴れて暑くなったので、「水シャワーも悪くないな」と思ったらお湯が出た。「水と〜思っても水で〜なし〜♪」というれっきとしたお湯。これで「The Majestic Station Hotel Ipohは水シャワー」というのがガセネタであることがわかった。ただし水のこともあります。夜は、「今日こそヴェランダをひとりじめ」と思ったら、やたらうるさい客に占領されていたので諦める。このホテルは全室にテレビがあるのが売りだが、そのテレビはよく映らない。