- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2006/07/21
- メディア: DVD
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シリーズ第一作、仁侠映画としても初期のものなので、まだスタイルが確立されていないところに、本来主役をやるはずだった中村錦之助がゲスト出演しているため、みんなが錦ちゃんの存在を気にしている。物語の中でも、木場政のみんなが客人である錦ちゃんに遠慮しているし、物語の外でもみんなが錦ちゃんに遠慮している、という印象。結局のところ、錦ちゃんの出演がいちばんのウリであり、錦ちゃんの登場シーンがいちばんの見せ場。
悪役は安部徹+天津敏の最強コンビだが、仁侠映画での悪役スタイルもまだ確立していないらしく、天津敏が妙にダサい。内田朝雄は出番も多めのいい人役。着ている着物もヘンなのに、どんどんいい人度が上がっていくのが観る者を不安にさせる。
久しぶりに観て、物語が『昭和残侠伝 血染の唐獅子』[C1967-16]とかなりそっくりであることに気づいた。『昭和残侠伝 血染の唐獅子』はマキノ監督の最高傑作の一本であると思うが、『日本侠客伝』では多すぎた人物を絞り、分散されたエピソードをコンパクトにまとめなおすことによって、あのようなすばらしい映画に仕上がったのだと思う。兵役から帰ってくる健さんも、『日本侠客伝』では陸軍の汚らしい制服だが、『昭和残侠伝 血染の唐獅子』では海軍の真っ白な制服である。
このように、リメイクを繰り返しながら完成度を上げていくのがマキノ映画の大きな魅力だが、そのあとまた同じストーリーで出来の悪い映画を作っちゃったりするのが一筋縄ではいかないところである。