実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『RAIN DOGS(太陽雨)』(何宇恆)[C2006-15]

次まで間があるのでいったん銀座に脱出。Meal MUJIで昼ごはんを食べたり(ワンパターン)、買い物をしたり、マキアートをすすったりしてからふたたびシネマート六本木。2本目の『RAIN DOGS』は東京国際映画祭で観た(id:xiaogang:20061026#p3)し、香港版DVDも持っている(id:xiaogang:20070615#p1)が、J先生に観させるためにまた観に来た。先週同様、あらかじめいいとわかっているものを観に行くのは楽しい。前の映画が少々アレでも、余裕をもっていられる。香港版のパンフレット(なぜ英語?)をもらえたのもうれしかった。

終盤の木洩れ日のシーンが美しいのは、もちろんそれ自体の魅力も大きいのだが、これがほとんど唯一の晴れのシーンだからということもあるのではないかと気づいた。多くのシーンで雨が降っていて、降っていなくても今にも降りだしそうな、雨を含んだ曇天。しかしだからといって陰気で重苦しいかというとそうでもない。この独特の空気感が熱帯だと思う。今回はまた、風も気になった。クアラルンプールのアパートの窓の向こうでわさわさと風にそよいでいる木々や、風にはためく色とりどりの布。ああ、マレーシアに行きたいなあ(結局これだ)。

そういうわけで、この映画の舞台・ロケ地はどこなのかが気になる。おじさんは国境で密輸をしているらしいので、タイ国境からそれほど離れていないだろう。主人公が、(少なくともその前のクアラルンプールに比べて)おじさんの家をわりと簡単に訪ねていることから、主人公の家とおじさんの家との間もそれほど遠くないと思われる。そうするとおじさんの家も主人公の家も北マレーシア。というところまで推測しても、どちらも小さな町だし、そう簡単にわかりそうにない。でも行ってみたい。

突然控えめに鳴り出すシンプルな音楽も印象的だが、主題歌的に使われれている『時には母のない子のように』もとてもよかった。観終わって、頭の中の歌はすっかり『時には母のない子のように』に変わったのでひと安心。この曲を入手せねば。

こんないい映画を観に来ている人が10人くらいしかいないなんてひどすぎる。何宇恆(ホー・ユーハン)監督は、間違いなく21世紀の映画界を担う重要な人なのに、シネフィルはいったい何をしているのか。

晩ごはんはもちろんとんき。3月1日から値上がりして、ビールも中びんになってしまったけれど、とりあえずとんかつの大きさは据置きのようだ。