実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『I'LL CALL YOU(得輭飲茶)』(林子聰)[C2005-52]

劉徳華(アンディ・ラウ)が関わったFOCUS: First Cutsプロジェクトで作られた6本の映画が、「アジア新星流」(公式)というタイトルで、シネマート六本木で公開されている。いずれも以前東京国際映画祭で上映されたものだが、そのときに観られなかった林子聰(ラム・ジーチョン)監督の『I'LL CALL YOU』観に行く。実は『LOVE STORY』も観ておらず、しかもシンガポール映画は必ず観る主義なのだが、スケジュールが合わず断念。東京国際での評判はすこぶる悪かったからまあいいか。

『I'LL CALL YOU』は、冒頭、女の子たちが男の品定めをしていて、不合格となった男たちが爆発(?)して消えていくのを観て、間違った選択をしてしまった感にとらわれる。その予感は的中した。わたしは、特殊効果やアニメを使った映画、ゲームっぽかったり漫画っぽかったりする映画、想像や心情などが可視化されたりするリアルでない映画が嫌いだ。この映画はまさしくそういう映画。観る前はてっきりソフィスティケイテッド・コメディなのかと思っていた。

あまりモテない男三人組の一人である主人公(方力申/アレックス・フォン)が、タレントのはしくれの女王様系女子(梁慧嘉/ビアン・リアン)に振り回されるというお話。原題の‘得輭飲茶’は、直訳すればたぶん「暇があったらお茶でも」という意味だが、実際の意味は英題にあるように「また連絡するよ」ということである。方力申は毎夜三人組で街に出て、飽きずに百威(バドワイザー)を飲んでいるのだが、梁慧嘉から連絡があると友人に‘得輭飲茶’と言ってはいそいそと出かけ、梁慧嘉には‘得輭飲茶’と言われてていよく追い払われる…といった内容。こういったタイトルのつけ方、使い方はうまいと思うのだが、日本語で「連絡するよ」といったストレートな表現になってしまうと、それがあまり効いてこない。

ゲスト出演の劉徳華はちょいと出すぎ。笑えたけれど、『マッスルモンク』を観ていないからイマイチか。王家衛(ウォン・カーウァイ)のパロディと思しき看守役も、ちょっと工夫が足りない。

劇中で歌われ、エンディング・テーマにもなっている香港製日本語演歌“死狗”が、観終わったあと頭から離れなくて困った。