実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『台湾の食堂ゴハン』(山田やすよ)[B1273]

『台湾の食堂ゴハン』読了。

台湾の食堂ゴハン

台湾の食堂ゴハン

レストラン紹介本なんて、写真がきれいで、おいしそうなお店が何軒か載っていて、今度ぜひ行ってみようと思えればそれでOKなのかもしれない。そういう意味では、この本はいちおう合格なのかもしれない。だけど内容の信憑性にもかかわるから、やはりそうも言っていられない。とにかく、つっこみどころの多い本なのである。

まず食べ物とは関係ない話から。「はじめに」に「立国してから日が浅いこともあり」(p. 7)とあり、「台湾はいつ立国したんだ?」と思ったし(別に一国論とか二国論とかの話をしたいわけじゃない)、そもそも「立国」ということばが使われているのに違和感をもった。読み進むと、「中華民国として建国してから日の浅い台湾で」(p. 46)とか意味不明なことが書いてあってのけぞった。かと思うと、「台湾は第二次世界大戦までの約50年間を日本に統治されていた」(p. 60)とも書いてある(ビミョーに変ですが)。中華民国が建国されたとき、台湾は日本の植民地だったのだが、そのことと上に引用した箇所との関係はどのように説明していただけるのだろうか。

また、本文中の食べ物やお店の名前、住所が繁体字表記なのには好感をもったが、繁体字と日本の漢字が入り混じった巻末の地図を見てはげしくがっかりした。

次に食べ物の話。まず、龜苓膏は仙草ゼリーではないと思います。魯肉飯を「どんぶり」と言い、叉燒包を「蒸しパン」と言い、油條を「麩」と言う著者の言語感覚にもついていけない。それに花蓮のニセ小籠包について批判的に言及されていたが、いいじゃないですか、肉まんだって。ねえ。

わたしは台湾へ行って飲茶をしようとは思わないので、台湾のレストラン紹介本に飲茶屋が載っていると「うーん」と思う。案の定、この本にも載っていたのだが、なんと金獅樓だった。『河』[C1996-41]で陸筱琳(現・陸弈靜)が働いている、獅子林にあるレストランだ。大勢で円卓を囲むような店かと思っていたので行こうとは思わなかったが、飲茶屋なんだったら今度行ってみよう。