実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『映画と写真は都市をどう描いたか』(高橋世織)[B1247]

チケットぴあに並んでいるあいだに『映画と写真は都市をどう描いたか』も読了。

映画と写真は都市をどう描いたか (ウェッジ選書)

映画と写真は都市をどう描いたか (ウェッジ選書)

現代思想臨時増刊『総特集 ドキュメンタリー』を読み終わった(id:xiaogang:20071031#p2)直後に開いたら、あまりの文字の大きさ、というか1ページあたりのあまりの文字の少なさにめまいがした本。フォーラム〈地球学の世紀〉での講演をもとにしたものだということだが、いつどこで行われたどういった趣旨の講演かなどが一切書いてなくて、なんだかよくわからない。

この本を買ったのは、タイトルが、ロケ地研究家としては読まなければならないもののように思えたからである(実物を見つけることができなかったので、未確認のままネットで購入)。しかし結論からいえば、期待したようなこと(それは何かと聞かれると困るのだが)はほとんど書かれていなかった。

私の期待に多少はかなっているといえるのは、黒沢清の『映画のなかの都市の記憶』くらいで、これは自身の映画のロケ地選びやロケーション撮影についてのものである。しかしながら、わたしはその中のごく一部しか観ていないため、概念的な理解にとどまった。蓮實重彦の『無声映画と都市表象 - 帽子の時代』もなかなかおもしろかったが、これは都市という概念がどのように表象されたかという話であって、都市そのものを写すことについてのものではなかった。