実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『一人息子』[C1936-01]の製糸工場

小津安二郎の『一人息子』(asin:B00009XLL9)で、母・飯田蝶子が働いている信州の製糸工場は、現・笠原工業(公式)で撮影されたようだ。笠原工業は、現在は発砲プラスチックだのコンデンサーだのを作っているらしいが、かつては製糸工場で、今も繭倉の建物が残っている(常田館も笠原工業の製糸工場時代の建物である)。映画のラストシーン、バケツを下げて出てきた飯田蝶子が沈んだ様子で座り込むとき、その背後に見えている建物は繭倉ではないかと思われる。


日曜なのに門は少し開いていて、人の気配がある。最近の、セキュリティにギスギスした会社とは違うゆるい雰囲気だが、門柱にはしっかり「縦覧謝絶」とあり、さすがに中へは入れない。向こうに見える繭倉らしき建物が、果たして映画に出てくるものかどうかはわからないが、当時の雰囲気はなんとなく残っており、とりあえずよしとしたいと思う。