最近の“The Long Goodbye”ブームの仕上げとして、ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』を観る。力餅家の力餅(草餅ヴァージョン)を食べながら、というところがなんともミスマッチ。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2006/06/17
- メディア: DVD
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劇場でもLDでもDVDでも何度も観ていて、三つ星をつけているとても好きな映画。エリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウのキャラクターに始まって、登場人物も事件の真相も結末も、原作とはかなり違っている。ギムレットも出てこなければ、リンダ・ローリングも登場しない。これだけ違うと、原作がどうのこうのと言う気にもならないので、全く別物として楽しめる。舞台が50年代から70年代に移されているのがポイントだ。原作のフィリップ・マーロウやテリー・レノックスのような人物は、70年代には存在し得ないということか。
ストーリーが大きく変わっているのは、分厚い原作を2時間の映画にできるわけがないというのが第一の理由だと思われる。それでいてこの映画は、ストーリーとは直接関係のない、けっこう長い猫のエピソードで始まる。このあたりが、本筋とは直接関係のない細部が生き生きと描写されている、チャンドラーの原作へのオマージュになっているように感じられて興味深い。
原作のマーロウは(最初にテリーを送って行くところを除いて)メキシコへは行かないが、映画ではそのあと二度訪れる。そのメキシコ部分のシーンが特に好きだ。また、ジョン・ウィリアムズによる音楽、というより主題歌がものすごくよくて、★のひとつかふたつ分はこの主題歌によると言ってもいいと思う。観終わってからずっと、気怠い音楽が頭の中で鳴り続けている。
字幕でのエリオット・グールド版マーロウの一人称は「僕」だった(id:xiaogang:20070324#p3参照)。「マーロー」となっていたのが許せない。