実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『不機嫌な男たち』(ミン・ビョングク)[C2004-44]

寒い。朝、家を出て、あまりの寒さに外出をやめようかと思ったほど寒い。渋谷のシアター・イメージフォーラムに向かうが、映画は11時15分からという中途半端な時間だ。私は食事の時間には厳格なほうなので、どうも13時すぎてから昼ごはんを食べるのは気持ち悪い。映画のあとでは時間もとれないので、映画の前に食べることにする。まだ10時すぎだから軽く食べようと思って歩いているうちに激しくおなかがすいてきたので、ふつうにおなかいっぱい食べる(10時からごはんが食べられる大戸屋は貴重だ)。映画の最初の回は遅くとも10時半くらいにして、昼ごはんの時間に配慮してほしいものである。

観た映画は、ミン・ビョングク(閔秉旭でいいのだろうか、閔秉國というのもあるが)監督の『不機嫌な男たち』(公式/映画生活)。『キムチを売る女』(id:xiaogang:20070211#p1)に続き、韓国アートフィルム・ショーケース(KAFS)の一本である。

主人公は30代後半(チラシなどに「中年」と書いてあるのはひどすぎないか?)の二人の男、チョン・チャンとキム・ユソク(鄭贊と金佑錫でいいのだろうか)。彼らの日常を現実と幻想を織り交ぜて描いていて、展開が全然読めないので最後まで引き込まれて観た。でも主人公たちには共感できないというか、あまりリアルには感じられなかった。彼らは「自分はこのままでいいのか」といった不安を抱えているらしいが、まず私はそういう「自分さがし」みたいなのが大嫌いだ。そんな彼らが考える理想、「可能なる変化」が何かといえば、気になっている女性とうまくやることである。そのギャップがおもしろいといえばおもしろいが、逆に、女を追いかけるのにもっともらしい言い訳が用意されているのが嫌だともいえる。女を追いかけるなら、変な屁理屈なしで単純に追いかけるべきではないのか。ちなみに、追いかけられる女性は二人ともすごくアイメークが濃かったのが印象的(久しぶりに見る韓国メイク?)。

内容的にも映像的にも、ある面ではホン・サンス(洪尚秀)によく似ていて、ある面では全然似ていない。俺はホン・サンスのほうが好きだね、ユーモラスで。ホン・サンスの登場人物にもほとんど共感できないけれど、行間からあふれ出るようなリアリティがある。

ところでシアター・イメージフォーラムも寒かった。先日やっていたテレビ番組によると一番冷えるのは足の指先だということだが、私がいつも寒さを感じるのは足首である。たくさん着ているから実際に温度が低くなっているのかどうかはわからないが、体感的には凍りそうだった。