実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『天国へ行くにはまず死すべし』(Djamshed Usmonov)[C2006-25]

世間はお休みだが、私の職場は出勤日。でも私はフレックス・ホリデーで、フィルメックス連休だ。まずMeal MUJIで昼ごはんを食べてマリオンへ。東京フィルメックス七本目は、コンペティションの『天国へ行くにはまず死すべし』。ジャムシェド・ウスモノフ監督の新作である。中央アジア映画作家は、カザフスタンがセリック・アプリモフ(Serik Aprymov)、キルギスアクタン・アブディカリコフ(Aktan Abdikalykov)、そしてタジキスタンがこのジャムシェド・ウスモノフ。どの国も映画製作はたいへんそうだが、いずれも期待の監督だ。

映画は、結婚したら不能になった青年が回復するまでを、独特のテンポで描く大冒険ロードムービー。「妻を愛している」と言いながらも、女性を見ると追いかけるのだが、その中で彼が選んだ女性、ヴェラを演じているのが『動くな、死ね、甦れ!』[C1989-43]のディナラ・ドロカロヴァ(Dinara Drukarova)。ずっと「似てるなぁ、本物かなぁ」と思いながら観ていたのだが、Q&Aで本物であることが判明した。彼女のほかはほとんど素人で、主人公のカマルを演じるクルチェド・ゴリベコフ(Khurshed Golibekov)は監督の甥、ヴェラの夫を演じるマルフ・プロゾダ(Maruf Pulodzoda)は監督の弟らしい(『右肩の天使』のQ&A(LINK)では兄だと言っていたのだが)。昨日見た『アザー・ハーフ』[C2006-24]の出演者も全員素人で、プロデューサーの親族も出ていたが、あちらはいかにも素人を集めたというふうだった。ところがジャムシェド・ウスモノフ監督は、かなり立派な家族、親族をお持ちのようである。前作の『右肩の天使』[C2002-12]にも出演していたマルフ・プロゾダは、そこらのプロの俳優などかすんでしまうほどの存在感。クルチェド・ゴリベコフもなかなか映画映えのする青年で、女性を追いかけても変な行動をしても、変な感じがしない独特の雰囲気。だけどいくら監督の甥だからって、すっぽんぽんにさせられたのはちと気の毒である。

上映後、撮影監督のPascal LagriffoulをゲストにQ&A(採録ココ)が行われた。