実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『オペラジャワ(Opera Jawa)』(Garin Nugroho)[C2006-23]

今日はフレックス・ホリデーでお休みなので、三本観る予定である。チャオタイ(公式)でガパオラーカオカイダオのセットを食べてからマリオンへ。今日の一本目、東京フィルメックス四本目は、特別招待作品の『オペラジャワ』。『ある詩人』[C1999-25]以来久しぶりに観るガリン・ヌグロホ(Garin Nugroho)監督の新作である。東京国際映画祭でも共同監督作の『セランビ』が上映され、観たかったのだが7時半からという遅い時間だったため観られなかった。

『オペラジャワ』は、ラーマーヤナを下敷きにしたガムラン・ミュージカル。興味深い試みだと思うし、たいへん美しい映画でもあり、影絵を思わせる影を使った演出などはおもしろかった。しかしながら、私のジャワ音楽や舞踏に対する知識、興味、理解が足りないため、十分に堪能できたとはいえない。ラーマーヤナに関する知識がないのも致命的である。ラーマーヤナとかマハーバーラタとかは、アジア人の教養として当然知っておくべきだとは思うが、なかなかそこまで手が回らない。

劇中劇として舞踏劇が出てくると思い込んでいたため、映画全体がミュージカルであると気づくのに時間がかかったのも、映画を楽しむのを阻害した大きな要因である。また、あとから考えると、ミュージカルであるということに必要以上に気をとられてしまい、ふつうの映画のように楽しむ余裕がなかった。ちなみにこの映画は、『シェルブールの雨傘[C1963-14]のように、すべての台詞が歌である。

最初のほうは、エロチックな雰囲気など、おもしろくなりそうな予感があったが、後半は、かなり道徳的な、メッセージがはっきりした歌詞の連続に閉口してしまった。モダンアートとの組み合わせも、意欲的な試みだとは思うけれども、なんというか「いかにも」という雰囲気が好きではない。

ところで、公式カタログのガリン・ヌグロホ監督のプロフィールに間違いがある。「『枕の上の葉』(99)、『ある詩人』(01)」とあるが、『枕の上の葉』[C1998-11]は1998年、『ある詩人』は1999年の映画である。