はげしくいまさらなのだが、昨日やっと東京国際映画祭で観た映画の感想を全部書き終えたので、ここで今年の映画祭を総括しておく。ちなみに、ティーチインの採録はもはや絶望的な状況。
観た映画について
- 概観すると、やはりアジアの風の目玉だったマレーシア映画のすばらしさを第一に挙げたい。公開される『Rain Dogs』(公開時には邦題が変わると思う)はぜひ多くの人に観てもらいたいし、Yasmin Ahmad(ヤスミン・アハマド)監督の映画はぜひどこかで公開してほしい(ユーロスペースあたりでどうですか?←またか)。ほかは、香港映画が意外にがんばっていて、台湾と中国はちょっと低調という感じだった。
- よかったのは、『イザベラ』(id:xiaogang:20061028#p2)、『Rain Dogs』(id:xiaogang:20061026#p3)、『マクシン』(id:xiaogang:20061027#p4)、『永遠の夏』(id:xiaogang:20061027#p3)、『父子』(id:xiaogang:20061026#p2)、『アリスの鏡』(id:xiaogang:20061025#p1)あたり。観なきゃよかったというほどひどいものはなかった。
- 観られなかったものの中でぜひ観たかったのは、『ガブラ』(Yasmin Ahmad)と『愛は一切に勝つ』(陳翠梅)。やっぱりマレーシア映画。
観た映画の内容について
いろいろな映画に似たようなモティーフが出てきたような気がするので、思いつくままに挙げてみる。- 学校の制服:『青春期』(id:xiaogang:20061022#p2)『十三の桐』(id:xiaogang:20061024#p1)『八月的故事』(id:xiaogang:20061026#p1)『永遠の夏』
- 休暇:『八月的故事』『Rain Dogs』『マクシン』
- 大学受験:『青春期』『グッバイ・ボーイズ』(id:xiaogang:20061023#p1)『十三の桐』、『Rain Dogs』『永遠の夏』
- ダメ男:『浜辺の女』(id:xiaogang:20061022#p3)『父子』『イザベラ』
コンペティションの結果について
コンペティション部門の映画は、『浜辺の女』と『十三の桐』しか観ていない。結果は、『浜辺の女』は無冠、『十三の桐』は審査員特別賞を獲ったわけだが、作品としては『浜辺の女』のほうがよかった。『十三の桐』は、劉欣に主演女優賞をあげたかった。観た人はみんなそう思っているはずだ。「アジアの風」のプログラムについて
「アジアの風」のプログラムには、東アジア、東南アジア、南アジアの映画しかなかった。ここ数年ずっとそうであり、東京フィルメックスとの分担の影響もあるのだろうとは思う。しかし、中央アジア、西アジアの作品を入れる気がないのであれば、「アジアの風」ではなく、適切な名前に変更するべきではないだろうか。公式プログラムについて
今年は「アジアの風」のカタログがなく、しかたなく公式プログラムを買ったのだが、これが言いようもないほどひどい代物だった。それなのに1500円もする。問題点を簡単に挙げると次のとおり。- 事実の誤りが散見される:たとえば、『父子』の撮影は李屏賓だし、重慶市は四川省ではない(『Crazy Stone』)。
- 作品解説が映画の内容と合っていない:『ラブン』『永遠の夏』など。
- スタッフやキャストのカタカナ表記がいいかげん:たとえばバーナード・チョーリー監督。
- 役名のカタカナ表記が映画字幕の表記と異なる:『浜辺の女』『グッバイ・ボーイズ』『永遠の夏』『サイゴン・ラブ・ストーリー』など。
ぎりぎりになって完成した映画もあるので、たしかにたいへんな作業だろうとは思う。しかしこれはお客様からお金を取ることができるレベルにはほど遠い。東京フィルメックスの事務局だより[事務局だより - 林 加奈子ディレクター (9)]にカタログ作成のたいへんさが書かれているが、東京国際映画祭もこのくらいの意識があったら、これほどひどいものにはならないのではないか。いっそのことインターネット上で協同編集したら、ずっと高品質のものができそうだ。