実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『桃花泣血記』(卜萬蒼)[C1931-09]

今日は、フィルムセンター小ホールの「シネマの冒険 闇と音楽2006」(公式)へ『桃花泣血記』を観に行く。「シネマの冒険 闇と音楽2006」は、無声映画活弁や伴奏をつけて上映するプログラム。『桃花泣血記』には曹雪晶さんの二胡伴奏がつく。

11時ごろ京橋に着いて、まずはなまるうどんで昼ごはんを食べる。J先生は「伴奏つきだからおなかが鳴っても大丈夫」とのたまっていたが、晩ごはんにとんきに行きたいから昼食は早めにすませておきたいのだ。11時20分ごろフィルムセンターに着いたが、開場10分前とは思えない人の少なさ。結局、観客はかなり少なくて寂しかった。1000円と高いのでじいさんたちは来ないのか、それともみんな大ホールのミゾケンに行っているのか。中国映画も観ましょうよ。

『桃花泣血記』は、卜萬蒼(プー・ワンツァン)監督、阮玲玉(ロアン・リンユィ)、金焰(チン・イェン)主演の上海映画。内容は、地主の息子と小作人の娘の悲恋物語である。古今東西数多作られてきたであろう題材だが、あらためて無声映画の力をみる思いがする。無声映画は、映像だけで物語を語れるように作られているし、古い映画だから映像もシンプルだ。シンプルに語られることが、ありふれた物語をまっすぐ心に届くものにしている。また、木洩れ日など、屋外の光と影の美しさにも心を奪われた。

伝説の女優、阮玲玉は、メイクや、表情があまりにも劇的に変わることによって、本当はどんな顔なのか、美しいのかどうなのか、正直言ってよくわからない。金焰は、目元のあたりがなんとなく駒大苫小牧の田中くんを思い出させたりする(もっとハンサムだが)。彼の演じる少爺(お坊ちゃま←私はこの言葉を“流星花園”で知った)は気の弱そうな雰囲気が漂っていて、いつか裏切るのではないかと思ったが、意外に芯の強い役だった。しつこいほどにコケまくりながら阮玲玉のもとへ駆けつけるシーンが印象的。