『小津安二郎文壇交遊録』読了。
- 作者: 貴田庄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 新書
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小津映画との関わりからいえば、次の二点が興味深い。
- 小津安二郎は、1956年6月に、志賀直哉、里見紝と、浜松、蒲郡、京都、大阪を旅行している。1958年の『彼岸花』(asin:B0009RQXIM)の、蒲郡での同窓会やそのあと平山(佐分利信)が京都を訪れるシーンは、この旅行の記憶に基づいていると思われる。
- 1953年5月はじめに『東京物語』(asin:B0009RQXIC)のシナリオが完成したあと、小津は毎日のように荷風の『断腸亭日乗』を読んでいる。6月の『東京物語』のロケハンでは、下町の江東や浅草をあちこち歩いているが、そこは『断腸亭日乗』に頻出した場所であり、影響が感じられる。
『全日記 小津安二郎』は、持っているけれどほとんど読んでいない。せっかく文学に関する記述を抜き出したのだから(これはかなり大変な作業である)、羅列するだけではなく、年別、作家別の頻度を可視化したり、作家別の言及作品リストを作ったりすればいいのにと思う。