実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『明治の冒険科学者たち - 新天地・台湾にかけた夢』(柳本通彦)[B1167]

『明治の冒険科学者たち - 新天地・台湾にかけた夢』読了。

明治の冒険科学者たち―新天地・台湾にかけた夢 (新潮新書)

明治の冒険科学者たち―新天地・台湾にかけた夢 (新潮新書)

出世や栄光とは無縁に生涯を台湾研究に捧げ、現在もその研究成果が正当に評価されていない三人の科学者、伊能嘉矩、田代安定、森丑之助を描いたもの。台湾ものということで、出たときから気にはなっていたものの、「科学者?…興味ないや」と思って今まで読まずにいた本。

正直言って、あまりおもしろくなかった。具体的なエピソードがあまりなく、単純に生涯を追った伝記的な内容であるからだ。「新天地・台湾にかけた夢」というサブタイトルがついているので、台湾時代に重点が置かれているのかと思ったが、そういうわけでもなかった。特に期待外れだったのは次の点である。

  • 当時の台湾の様子や、台湾での彼らの行動、生活の様子などが具体的に描かれていないこと。
  • 彼らの研究の内容や功績などの具体的な事例が書かれていないこと。

本人の書いたものなどをあまり引用せず、著者の言葉でまとめてしまっている点も、内容を抽象的でつまらなくしている要因のひとつだと思う。