実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『弓(활)』(金基徳)[C2005-40]

朝から渋谷へ。ル・シネマで、金基徳(キム・ギドク)監督の『弓』(公式映画生活)を観る。ル・シネマのサイトの混雑情報では、平日も週末も朝から晩まで、40分から1時間前に来いと書いてあったが、予想どおり初回はすいていた。見栄なのか手抜きなのか知らないが、情報を出すなら正確に出してもらいたいものである。

金基徳の映画はまだやっと5本めだが、けっこう好きなのとそうでもないのとがあるようだ。好きなのは『サマリア』(asin:B00080IG9E)と『悪い男』(asin:B0002CHQ0I)。そうでもないのは『春夏秋冬そして春』(asin:B0006FNIBM)。この『弓』もそちらに分類される。金基徳の映画はどれも設定や物語が奇抜だが、それが作為的に感じられてしまうとだめなのだ。『弓』は、もちろんいいところもたくさんあるが、ラストのああいった寓意のようなものはもともと好きではないし、どうしても頭で考えて作ったという感じがしてしまう。また、金基徳の映画はどれもファンタジーだが、それが実際の街や社会と密接に関連しているほど魅力的に感じる。

しかし主演のハン・ヨルムはいい。無邪気なようで奔放で、清楚なのに淫乱っぽくて。こう書くと、まるでロリコンエロおやじの欲望の権化みたいだが、無邪気なのか誘惑しているのかわからない目つきにはドキッとさせられる。ふつうに見ると特別美少女でもないようなのに、表情がすごくよくて、今後が楽しみな女優である。テレヴィドラマなんかには出ないで、いろんな監督の映画に出て活躍してほしいと思う。