実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『日本侠客伝 血斗神田祭り』(DVD)[C1966-11]

最近、シリーズのDVDを3枚買ったので、日本侠客伝まつりをしたいのだが時間がない。とりあえず久しぶりの『日本侠客伝 血斗神田祭り』(マキノ雅弘)を観る。この映画は、16年前に浅草名画座で観た。ちょうど仁侠映画にはまり始めたころで、上映を見つけると観に行っていた。しかし土曜の夕方の浅草名画座は、JRA帰りのじいさんで一杯で、酒その他の臭いや煙草の煙が充満しているなかで立見した。それ以来、浅草名画座には行っていない。

日本侠客伝 血斗神田祭り [DVD]

日本侠客伝 血斗神田祭り [DVD]

内容はほとんど憶えていなかったのだが、すごくおもしろかった。日本侠客伝シリーズといえば、『浪花篇』(asin:B000FHVUH0)『関東篇』(asin:B000FHVUHA)が出色だが、これもなかなかである。

なんといっても鶴田浩二がかっこいい。特別出演だから出番は少ないかと思ったらかなり多く、おいしいところを全部持って行っている。例によって、鶴田浩二は女のために仁義を捨てた男(その女が野際陽子っていうのがちょっと…)、高倉健は女を捨てて仁義や仕事を優先する男。今回は藤純子が人妻で、やがて未亡人になるという、健さんにしてはオトナの設定なので、そこで鶴田浩二との対比が生きてくる。鶴田浩二健さんに忠告するシーンがすばらしい。

天津敏本を読んで(id:xiaogang:20060714#p1)最初の天津敏映画だったが、ちょうど天津敏と遠藤辰雄が極悪コンビを演じていてグッド・タイミングだった。一方、河津清三郎や内田朝雄は珍しくいいひとである。ほかに特筆すべきは中原早苗が出ていること。あいかわらず威勢のいい役で、仁侠映画は珍しいし新鮮だ。中原早苗は同じ1966年に『男の顔は履歴書』に出ているが、これは彼女の代表作のひとつといっていいと思う。加藤泰監督にとっても代表作の一本だと思うのに、どうしてDVDを出してくれないの?>東映