実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『台北ストーリー』

台北ストーリー』読了。

台北(たいぺい)ストーリー (新しい台湾の文学)

台北(たいぺい)ストーリー (新しい台湾の文学)

台湾文学の短篇集。収録作品は、張系國:『ノクターン』(1981)、朱天心:『記憶のなかで……』(1987)、張大春:『将軍の記念碑』(1986)、黄凡:『総統の自動販売機』(1990)、朱天文:『エデンはもはや』(1982)、平路:『奇跡の台湾』(1990)、白先勇:『最後の夜』(1968)。内容や作風はすべて異なる。どれもそれなりに興味深いし、それなりにおもしろいが、すごくおもしろいとか、特に好きだとか思える作品は、残念ながらなかった。

この短篇集は『台北ストーリー』と名づけられているので、台北を描いた小説が並んでいるのかと思っていた。しかし、どれも台北は出てくるものの、特に台北が前面に出ているわけではなく残念だ。それに1980年代から1990年までの作品が並ぶなかに、唐突に1968年の『最後の夜』が入っているのも、寄せ集め的な雰囲気を増大させている。「新しい台湾の文学」というシリーズでもあるし、新しめのものに揃えてもよかったのでは。

ところで、『奇跡の台湾』に「胡瓜ショー」が出て来たのが笑えた。ほかの固有名詞にはたいてい註がついているのに、これには註がついていないのはなぜだろう?