実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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第10回台湾旅行のまとめ

■ 天候
黄金週に台湾へ行くのは4度めだが、これほど毎日雨が降ったのも初めてだし、これほど暑かったのも初めてだ。日照時間がちょっと少なかったものの、台北から台中を襲った大雨にも遭わず、なにより寒い日がなくてよかった。
■ 日程
9日間で3箇所、しかも台湾一周はかなりきつかった。特に時間が足りなかったのは高雄で、澄清湖にも旗山にも美濃にも行けなかったし、市内でさえ西半分しか行けなかった。そのため、要チェックの近代建築をかなり見逃した。ある程度満足するには4泊は必要だと思われる。台北も時間が足りず、お茶屋さんにも行けなかった。南部まで行くには、最低2週間はほしい。それから、身勝手な言い分だとは思うが、黄金週は日本人が多くて気が滅入る。
■ ロケ地探訪
今回訪ねたのは、新しい映画では『スリー・タイムズ(最好的時光)』(侯孝賢)、『月光の下、我思う(月光下、我記得)』(林正盛)、『夢遊ハワイ(夢遊夏威夷)』(徐輔軍)、『時の流れの中で(經過)』、『深海』(鄭文堂)、古い映画では『カミカゼ野郎 真昼の決斗』(深作欣二)、『バンコックの夜(曼谷之夜)』(千葉泰樹)などのロケ地。2004年夏の訪台以降に観た映画が中心だ。以前訪れたところを再訪したのは『風櫃の少年(風櫃來的人)』(侯孝賢)くらいで、定点観測がほとんどできなかったのが少し残念。ドラマのロケ地には全く行かなかった。『流星花園花より男子〜』のロケ地のいくつかは、すぐ近くまで行ったのだが。直前の『求婚事務所』でこれ見よがしに番地が映ったところ(「私に行かせるため?」とマジで思った)も、ついでがなかったので行かなかった。
■ 建築
最近台湾では、近代建築の再生利用が盛んで、主にレストランやカフェ、展示館や芸術村といった用途に使われている。再生利用は基本的には歓迎すべきことだし(朽ちるものは朽ちるままにせよ、という思いもないではない)、誰でも利用できる施設になることで、内部まで見ることができるのは歓迎だ。しかしいくつか行ってみて、今後どう利用していくのか、課題も多いと感じた。たとえばカフェとして利用する場合、どこかの業者が入って運営しているような形態だと思うが、それでは、建物と中身が一体となってひとつの魅力あるカフェを作っているところには勝てない。どこも一度は行ってみたいけれど、何度も行きたいカフェなのかというとそうでないところのほうが多いだろう。また地方の場合など、集客も大変そうだ。
■ 食
今回はとにかく、行こうと思った店がなくなっていたり、満席で入れなかったり、そういうことが多く、行きたかったところにはほとんど行けなかった。時間的余裕もなかったので、飲食のためにわざわざ移動するということもほとんどできなかった。そんなわけで、欣葉も四川呉抄手も、冰館も公園號も行けず、茶藝館に行くゆとりもなかった。食に関しては心残りが多すぎる。公園號の酸梅湯が飲みたい…。
■ トイレ
最近は台湾のトイレもきれいになって、あまり気にならなくなっていた。ところが日本では、ここ数年で急速にウォシュレットが普及したため、ウォシュレットのほとんどない台湾との格差が開いてしまい、以前よりも不満度が高くなった。また台北はよくても、台湾第二の都市である高雄は、トイレも少なくトイレットペーパー必携だった。ただしこれは、現在工事中の捷運が開通すれば解決するはずだ。台東は、台東鐵道藝術村(旧台東車站)のトイレがわりとお薦め。ひとこと言いたいのは台灣鐵路のトイレについてである。高雄車站のトイレも台東車站のトイレも、新しくて外見はきれいだ。ところが個室に一歩入ると、ほかと変わらないいつもの台鐵のトイレ。捷運があのレベルのトイレを作れるなら、台鐵だってやればできるはずだ(JRのトイレだって最近はきれいになったしね)。
■ 交通事情
長距離の移動では、今回初めて長距離バスを使ったが、4時間程度ということもありけっこう快適だった。鉄道とは別のルートで、風光明媚なところを走るバスは、乗ってみる価値があると思う。短距離の移動では、旗津(高雄)のレンタサイクルが非常に重宝した。しかし高雄はバス中心でやはり不便だ(捷運が開通すれば解決するはずである)。台東はかなり不便だった。近郊で行きたい場所はたくさんあったが、自転車で行くには遠く、バスは本数が少ないうえに幹線道路しか走っていない。レンタカーかレンタバイクがあればもっといろいろ行けたはずで、ぜひとも国際免許が使えるようになってほしい。