実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『金門島にかける橋(金門灣風雲)』(松尾昭典)(DVD-R)

金門島にかける橋』は、日活(日本)と中央電影公司(台湾)の合作映画である。1958年の八二三砲戦を舞台にした映画で、これを観て一番疑問に思うのは、なぜ日活側はこの題材でいこうと思ったのか、ということだ。中央電影公司は国民党の映画会社で、当時の政治状況からしても国民党、国民政府に都合の悪いことは描けない。国民党の言い分は、「国共内戦、大陸反攻はやらねばならない」ということ。一方日活側は、この映画に「戦争に引き裂かれる恋人たち」とか「戦争で被害を被る庶民」といったテーマを盛り込もうとしているようにみえる。だけどそれを前面に出すわけにはいかず、何もかもがとても中途半端なのだ。

この映画のヒロインは、台湾のCC(クラウディア・カルディナーレ)と私が勝手に呼んでいる王莫愁(このときの名前は華欣)。日本からは芦川いづみが出ているが、もう全然負けている。だけど、毎度毎度場違いに登場して、時に「いづみさま節」を披露しているところをみると、意外に存在感があるのかも。

金門島にかける橋』は「金門島にかける橋って何だ?(どこからどこにかけるんだ?)」というところからしても、突っ込みどころ満載の映画。そのうちちゃんと語りたいと思っている。