実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『三人の博徒』(DVD-R)

朝はいいお天気だったので、『お茶漬の味』にちなんでタイトルをつけたのに、ピッコロ・ヴァーゾでうまいものを食べている間にあまりよくないお天気になっていた。帰って、今朝東映チャンネルで録った小沢茂弘監督の『三人の博徒』を観る。

この映画の見どころは澳門(マカオ)ロケなのだが、[まぜるなきけん]でも書かれているように(LINK)、せっかくの澳門があまり生かされていない。最後に鶴田浩二が殴り込みに行くときに、車夫の遠藤辰雄がわざわざ大三巴牌坊(Ruinas de S. Paulo)の前を通って行くのが笑えるぐらい。澳門ロケといえば、石井輝男澳門ロケ(『ならず者』『東京ギャング対香港ギャング』)があまりにもすばらしすぎるため、ふつうにやってもかなり見劣りすると思われるが、この映画はちょっとさみしすぎる。それに、澳門ロケ映画はやっぱり丹波哲郎が出なくちゃね。

タイトルの三人の博徒は、鶴田浩二池部良待田京介という渋い組み合わせ。でも三人の絡み方が中途半端で、せっかくの渋いキャストが生かされていない。胸を病んでいる池部良の異様なまでの熱演ぶりと、いくらなんでもひどすぎるキャラクターの遠藤辰雄(この映画の裏の主役か?)のはずしっぷりの対比が妙だ。悪役はいつもの安部徹だが、役名が小泉なので、「小泉は悪い奴だ」といった台詞が随所に聞かれ、思わずうなずいてしまうリアリティがある。