実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『靴に恋する人魚』

ドゥ・マゴでホット・チョコレートを飲んだあとの2本目は、李芸嬋(ロビン・リー)監督の『靴に恋する人魚』。靴が大好きな女性が、足と引き換えに本当の幸せを得るというメルヘン。こういうオトメゴコロを持ち合わせていない私はついていけなかった。これが台湾映画じゃなかったら、「なんでこんな映画観たのぉぉぉぉぉ」と自分を揺すらなきゃいけないところだ。でも主演の徐若[王宣](ビビアン・スー)は、本当に役に合っていてなかなかよくやっていた(実は徐若[王宣]観るの初めて)。ほかの女優だったら気持ち悪くて見ていられなかったかもしれないが、徐若[王宣]だからなんとか微笑ましく見ていられる。

しかし、リアルの対極にある映画なのに、歯医者のシーンだけ超リアルなのはどういうわけだ。下を向いていても音が超リアル(というか本物)。ちなみに、私が4月まで働いていたオフィスの近くには「スマイル歯科」というのがある。

上映後、李芸嬋監督をゲストにティーチ・インが行われた。監督が女性だとは思っていなかったので、女の人が出てきて驚いた。考えてみたら、男が撮っていたら超気持ちわるい。監督は「台湾映画は暗くて汚い」と言っていたが、オトメチックな人工物よりすすけた路地のほうが美しいと思う。もちろん、製作本数が増えればいろんな映画が出てくるのが当然で、こういう映画もあっていい。だけど、明るい映画や軽い映画や売れる映画が登場するたびに、「今までの台湾映画は暗くて重かったけど…」とか「今までの台湾映画は映画祭向けだったけど…」とか、みんなが口を揃えて言うのにはかなりぞっとさせられる。台湾映画好きのみなさん、もっと声を大にして台湾映画を擁護しよう。ティーチ・イン採録こちら([亞細亞とキネマと旅鴉]の[ドゥ・マゴで逢いましょう2005])。

今年の東京国際映画祭はこれで終わり(最後の作品がこれではちと寂しい)。ひげちょうで夕食を食べて帰る。