実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『恋人』

夕食は自然食のお弁当。今日の3本目は、王明台監督の『恋人』。自暴自棄に生きる青年と、彼をとりまく3人の女性の物語。

主人公の阿倫(藍正龍)が、どうしてそんなに落ち着かない生き方をしているのかがどうも理解できなかった。別れた秀秀(萬芳)のことが忘れられないからということなんだけど、そのあたりが納得いくように描かれていないと思う。藍正龍、顔濃すぎるし(関係ない?)。それに、働いてまっとうに暮らしている安[王其](李康宜)や秀秀の住む世界と、チンピラまがいの藍正龍の住む世界にかなりギャップがあるように感じられて、恋人同士だったとか恋人同士だとかいう設定もしっくりこない。切なげな李康宜とか、安[王其]と秀秀が仲良くなっていくところとかはけっこう良かったのだが。

ヤクザの親分に侯孝賢映画の常連・高捷、姐さんに『憂鬱な楽園』の徐貴櫻。最後に秀秀が訪れるのは『ミレニアム・マンボ』の夕張。ついでにいうと、阿倫が駐車係として働いているという設定とその場所は、『きらめきの季節/美麗時光』を思い出させずにはおかない。王明台は『流星花園II』の監督で、監製が侯孝賢だったから、侯孝賢組の人なのかなとも思ったが、よくわからない。感謝のクレジットには侯孝賢の名前はなかったと思う。