実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『Aサイド、Bサイド、シーサイド』

今日は有給休暇。汐留の夢民でグリーンの5番を食べてから六本木へ。1本目は陳榮照(アーチウ)監督の『Aサイド、Bサイド、シーサイド』。長洲島を舞台に、女子高生の卒業旅行の話(A side)と、島出身の女性の帰郷の話(Seaside)と、A sideの一人の少女のその後を描いたB sideから成る映画。

内容的には全く関連のないA sideとSeasideの登場人物が、一瞬すれ違ったり少しだけ共通していたりする構成で、もろに「『恋する惑星』に影響を受けました」という作品。別に王家衛(ウォン・カーウァイ)の専売特許ではないけれど、よほどの必然性がない限り、あと10年くらいはやらないほうがいいと思う。この映画の場合、Seasideパートは印象がうすく(男二人の区別もつきにくい)、つまらないギャグのような英題のために入れたとしか思えない。映画の中で重要な意味をもつVCDのA sideとB sideを構成にも生かしたアイデアはおもしろい。4人の女子高生が、エロVCDを買うための通行人から金を騙し取ろうとする様子をドキュメンタリー・タッチでとらえた冒頭シーンや、A sideとB sideの主役の女の子もなかなかよかった。それだけに、A sideとB sideに絞ってもっとじっくり描いたほうがよかったと思う。

この映画で重要な役割を果たすのが、北野武の『あの夏、いちばん静かな海。』。シネフィルは観なきゃいけないとされている北野武の映画を私は2本しか観ていない。しかも「もういいや」と思ってしまっている。だけど、やはり『あの夏、いちばん静かな海。』だけは観といたほうがいいのかなと思う今日このごろである。

上映後、陳榮照監督をゲストに迎えてのティーチ・インがあった。監督は若々しい人かと思ったら、けっこうおじさんだった。陳果(フルーツ・チャン)も知らない通訳を雇うな、と言いたい。ティーチ・イン採録こちら([亞細亞とキネマと旅鴉]の[ドゥ・マゴで逢いましょう2005])。