実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『モンゴリアン・ピンポン』

お昼はひげちょうのお弁当ですませ、午前中と同じ会場へ。今日の2本目は、寧浩監督の新作『モンゴリアン・ピンポン』。

子供がピンポン玉を拾ったことから起こる騒動を中心に、内モンゴルで遊牧をしているモンゴル人家族の生活を描いたもの。大草原のたたずまいや、ぶさいくだけど存在感のある子供たちの顔は、映画的ですごく画になっている。

この映画に出てくるモンゴル人たちは、民族衣装を着て遊牧をしてパオに住んでいるけれど、伝統的な生活に固執して頑なに守っているわけではない。新しいもの、未知なものにも興味を示し、必要であれば取り入れる。だけどやみくもに物欲や拝金主義に走ったりはしない。その加減がなかなかよい。我々の生活とかけ離れているように見えて、実はそう変わらないのではないか。なんだか多くの人が「素朴な生活に心を癒され」たり、「子供たちの純粋さに感動し」たりしているようで、もちろん誰かがそう思うのを止めることはできないが、これは決してそういう類いの映画ではないと思う。

ところで、この映画で一番重要なのは、子供たちのひとりが言う「パンダは国の宝」という台詞である(台詞だけなので、パンダ映画(LINK)に認定すべきかどうか迷うところだ)。まだ学校へ行っていなくても家にテレヴィがなくても、そういうことは知っていなければいけませんよ、ビリグくん。パンダに対するリスペクトが足りないように思われる中国人も、みんなこの映画を観て、パンダの大切さを心に刻んでほしいものだ。

今日はこの2本で終わりなので、さっさと六本木を抜け出して渋谷へ移動。さっそくドゥ・マゴへ行く。しかしホット・チョコレートは売り切れ。やむなくカフェ・オレを飲む。買い物などをして目黒へ移動し、とんきでとんかつを食べて帰る。

実は今日から賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の『世界』が公開されている。すごく観たいのに観る暇がない。『世界』を初日に観るような人はみんなアジアの風に行くから(勝手な決めつけ)、初日を映画祭にぶつけると観客動員数が減るのではないだろうか。だけど海外や地方から映画祭に来た人が、ついでに『世界』も観ることができるのなら、それはそれですばらしいことだ。