実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『セブンソード』

徐克(ツイ・ハーク)の新作『セブンソード』を観に丸の内TOEIへ行く。甄子丹(ドニー・イェン)ファンのおばさまがたが行列を作っているのでは、と危惧していたが(ウソ)、朝9時半の回とはいえ、すごくすいている。いいのか?

徐克の新作を観に行くのは、1995年末に香港で“刀”(『ザ・ブレード』)を観て以来だから10年ぶり。楽しめたが、10年ぶりとしてはちと物足りない。

まず7人の剣士のキャラクターが十分に描けていない(7本の剣についても)。それぞれに多くのシーンは割けないから、短い時間でぱっと印象づける必要があると思うのだが。結果として、顔に存在感のある悪役の孫紅雷が一番印象に残る。

物語は基本的には勧善懲悪もので、そこに黎明(レオン・ライ)の過去と内通者は誰かという問題が絡む…はずが十分絡んでいない。原作ものなので、エピソードをつめ込みすぎて、十分に練れていないと思われる。それから、どうして香港映画って、武侠片や古装片でも悪役がSFアニメみたいなんだろうか。

ちなみに私の武侠映画・功夫映画ベスト3は『血斗竜門の宿(龍門客棧)』(胡金銓(キン・フー))、『楽園の瑕』(王家衛(ウォン・カーウァイ))、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』(徐克)。これらを超える武侠映画・功夫映画はなかなか現れない。