最近観た成瀬巳喜男作品についてのメモ。
- ■ 交通事故/鉄道事故
- 成瀬は晩年に交通事故や鉄道事故を扱った作品を多く撮っているが、初期の作品でも交通事故や鉄道事故を頻繁に扱っているのに驚いた。現存する最古のフィルム『腰辨頑張れ』と遺作『乱れ雲』がともに事故を扱っている点も興味深い。
- ■ ギャグ
- 初期サイレント作品では、シリアスなメロドラマでも笑わすシーンが必ずある(突貫小僧も出てくる)。初期にナンセンス喜劇を撮っていたためなのか、それとも松竹の社風なのか。清水宏のサイレント・メロドラマでも、妙に長いギャグシーンがあったりする。
- ■「栗島すみ子は美人か」問題
- 栗島すみ子は美人女優だと言われているが、少なくとも眼鏡をかけているときは美人には見えない。眼鏡をかけていない『夜ごとの夢』は、前回もそうだったが、今回も「美人かどうか」を考えながら観た。結果はビミョーだ。
- ■ サイレント
- サイレントは苦手だ。どうしてか考えてみると、ストーリーを追うことが中心になって周辺に目をやる余裕がないからではないか。また、画面からはわからない最小限のことに限られるため、字幕がドラマチックで教訓的なものになりがちだ。たとえば『夜ごとの夢』で、「弱虫!」「いくじなし!」と巨大な文字で出てくると、どうしてもひいてしまう。
- ■『君と別れて』
- これはなかなかいいのだが、磯野秋雄というのは悲恋ものの主人公としてはアホ面すぎないか。
- ■『朝の並木道』
- 終盤にxxのシーンがあってなんとも妙な映画だが、冒頭のバスが来るところから始まって、千葉早智子が橋に佇んでいるところとか、いいなぁと思うところがたくさんある。やっぱりトーキーはいいなぁ。でもチラシに、「カフェーの女給」が「バーのホステス」と書いてあるのはいかがなものか。